宰相府藩国 水の巨塔

構造

地下部

1.水の循環

 地下庭園の滝は一般に言われるように上層から落ちてくるのではない。そんなことをしたら地上の湖が枯れるだけでなく地盤の崩壊の危険性も出てくる。そのため、天井に当たる部分のすぐ近くから水を放出するという方法をとっている。塔の円周上10mおきに設けられた排水口からただ水を放出させるだけで塔を覆い隠す滝となる。滝はそのほとんどが途中で霧になり、滝つぼは存在しない。そのため山をそれほど削らずに済んでいる。取水は地上と同じように地下湖から行われている。

2.移動方法

 白秋山の中腹には大きな空間がある。大きなドーム状に開けたその空間に地面は少なく、湖がほとんどを占めている。水際から空間の端までの25mほど残った地面から湖に向かって細い橋が伸び、その先に水の巨塔がそびえ立つ。この入り口の部分だけは本来の塔に小さな塔が張り付いている。この塔はエレベーターになっており、水の巨塔からこの塔に移動して橋へと降りる。水の塔から直に入り口を開けることをしないのは、万一水位が上がったときに水が塔内へ入らないための備えである。
 このドームの周囲にはいくつかの洞窟への入り口がある。この洞窟を通ることで秋の園だけでなく春の園、冬の園へと行くことが可能である。その出口は巧妙にカムフラージュされており、一般人にはそれが水の塔を通る道の出入り口だとは分からないようになっている。また、各種認証を必要とするため、外部の人間が入り込むことの無いように便宜が図られている。

3.地盤との接続

 そして最も重要でありながら今までほとんど触れられてこなかったのが、地下庭園のさらに地下に埋まる基部である。山を貫き、そのさらに地下の地底湖をも貫くこの基部は、強度を万全にするため山に刺さってから地下に行くにつれて太さを増している。外殻と内殻の壁の厚みを増やしていき、最下層では外殻10m、内殻45m、全幅250mほどになっている。最下層は地面を全てノームで打ちつけ、塔の内部で使われた高減衰ゴムを利用した免震装置が塔の重量を支える。この装置は揺れをゴムに吸収させ、発生した熱を電気エネルギーに変換することで、塔に揺れを伝える代わりにエネルギーを伝えるようになっている。また、地底湖より下の部分でもノーム製の杭を何本となく打ち込んでおり、ほとんど白秋山と一体になっていると言ってもいい。