宰相府藩国 水の巨塔

構造

地上部

 地上には地下のように支えがないため、風や揺れの影響を押さえるために上に行くにつれて細くなっている。幅の変更は2段階に分けて行われている。湖から50mまでの間で幅210mから150mへ。150mまでの間で幅が100mになる。ここから頂上までは100m幅のままとなっている。この幅の推移によって多層構造は変わってはいないが、その配分と内部区画に大きな変化が見られる。
 外殻では第一段階の変化、第二段階の変化をするにつれて5m→4m→2mと変化してゆく。この変化は幅の推移と同じように緩やかに行われている。
 内殻では30m→25m→15mと変化する。まず第一段階でノームのみの壁が5mまで外殻と同じように変化して行く。ここからはその他区画が幅を縮めて行く。エレベーターは動力がリニアのため、進行方向が斜め方向になっても運行は可能だが、スペースの確保及び200m以内に角度の変化があるという関係から大型のものは運行されていない。
 内部は最も変動が激しく、60m→40m→20mである。200mまでの二つの階層のどちらも途中で角度が変わっているため、ここの形は面白い事になっている。また、この2階層はすべてが浄水設備を備えたものとなっている。その代わり、これ以上の階層は頂上までポンプのみのブロックが続いており、その余剰スペースに何があるかは現在のところ不明である。
水が流れていない状態の塔。流線型の模様が美しい。
 外観はウンディーネの特性を活かして美しく白く磨き上げられている。そこには美しい流線型の紋様が描かれ、流れる水と併せて見る人に感動を与えている。また、この塔にはもう一つの模様がある。次第にシルフが色づき始め、時間が経つにつれて下の方から虹色の模様が浮かび上がって行くのだ。これが塔の最上部まで達した時、頂上部から水が噴き出す仕組みになっている。この周期は丁度1時間になっているため、ちょっとした時計代わりにもなっている。水が流れ出すのも噴水も24時間絶えることなく、昼は太陽に、夜はライトに照らされて、変わることない美しさを見る人に与えている。
シルフが色づいた塔。1時間おきに水が噴き出す仕組みだ

1.水の循環

 地上では水は地下から送られてくるほか、地上の湖からも取水している。これは湖の水を常に清潔に保つ役割もこの塔にあるためだ。取水口は強度を考えて3箇所、三つのブロックそれぞれに流れ込むようになっている。直径5mほどの外殻から内部まで貫く穴を開け、それをウンディーネ(仮)で覆い、常に開口したままにすることで整備の必要性を限りなく低くした。開口したままでも流れ込むブロックの容量以上には水が入ることは無いため、ポンプで汲み上げる量によって水量は調節可能である。この穴は湖の最下部に位置するように設置されており、湖面が下がっても取水できるようになっている。
 このようにして集まった水は3本のパイプを通って最上部のブロックに集められる。このブロックは三つに分かれておらずただ大きな水槽になっている。またこのブロックには天井がなく、許容量を越えた水は自然と溢れ出して外壁を流れてゆく。こうして水の塔の表面には常に水の膜が張られているのだ。中央、芯の上に当たる位置には巨大な噴水器が備え付けられており、ここから1時間に1回、1分間に渡って大量の水が放出される。

2.移動方法

 地上では塔への入り口は湖から遠く離れたところに設置されている。そこに地下へのエレベーターがあり、およそ50mほど地下のプラットホームへ移動。その後地下鉄で塔まで行くのである。地下鉄は地盤にトンネルを掘って作られており、トンネルはそのまま塔内部まで繋がっている。そこからは塔内部エレベーターへ通じる道だけが用意され、どの施設なのかは分からないようになっている。(とは言っても、位置関係から利用した大概の人物からはバレバレである)この地下鉄は地下区画へ行く人だけではなく、水の塔の中へ物資を運ぶのにも用いられる。そのため物資運搬用のエレベーターもどこかに設置されているが、そちらは決して一般人の目に付かないようになっている。湖近くにある商社ビルの一つがそうなのではないかと言われているが、真相は定かではない。

3.地盤との接続

 地盤を二つも貫き、湖も二つ貫く塔である。地盤との接続如何では漏水から地盤が緩み、崩壊する危険性もないわけではなかった。地下は漏れる心配が少ないが、問題は地上だ。幅が200mもあるとはいえ水が漏れない心配がないわけではない。そこで、湖の底の部分にウンディーネでフタをした。フタと言っても半径25mのシャンプーハットを地面に貼り付けるような形で作り、それを塔の外殻と接合させるのである。これで水はそのフタの上しか通らず、漏れる心配はなくなった。この処置は地下でも行われている。また、地盤による支えを得るために、内殻から地盤に向けていくつかのノーム製の杭を打ち込んでいる。これによってより確実に地盤によって支えられることができた。