果樹園
楽しくておいしい、収穫の秋
秋と言えば食欲の秋! そんな持論がある人もいるのではないでしょうか?
特に秋といえば収穫の季節でもあるのでおいしい食べ物が色々と楽しめる季節です。そんな秋を楽しめる秋の園でもやはりおいしい食べ物が盛り沢山。しかも、取れたて新鮮なものが食べられます。
そんな新鮮な食べ物の中でも秋の園がお勧めするのは栗拾いと柿狩りです。
栗と柿は秋の園の龍青神社への参道にある秋花堂でアイスクリームとしても食べられます。が、やはりそのままでも食べたいという要望があり、そして実現されました。
柿狩りは柿の木がある秋花堂の横でできます。時間制限はありますが、好きなだけ食べられるので柿好きにはたまらないイベントです。
栗拾いの方は参道とは別にある白秋山を登る登山ルートで拾うことができます。さすがにその場で食す……というわけにはいきませんが、栗拾い終了後に管理人さんお勧めのレシピ集がもらえるのでぜひ、家に持ち帰って食してみてください。
またどうしてもこの場で食べたい場合は秋花堂で栗の炊き込みご飯が食べられますのでぜひご賞味してみてください。
ある日の秋の園風景 その1
「おおー柿だらけだぞー」
雅史君がキョロキョロと顔を動かしている。なんか……子供みたい。
「よかったなぁ、お前柿好きだもんなぁ」
ニコニコ笑う雅史君はカッコイイなぁ……。
「? どうした?」
「う、ううん、なんでもないよ?」
雅史君にボーっと見とれていたのが気づかれないように私は顔をブンブンと振った。雅史君の顔に髪の毛が当たる。雅史君は髪をのけながら笑った。
「おいおい、そんなに嬉しさアピールしなくてもいいぞ」
うう、顔赤くなってないかな。笑う雅史君の顔も素敵過ぎる……。
「お前が柿、大好きなのはわかったからさ。そんなに喜ばれるとここに来たかいあったなぁー」
雅史君は笑いながら私にカゴを渡してきた。
「食べてもいいけど、ちゃんと持って帰る分も集めろよ?」
……柿好きなのは認めるけど、別におみやげの分をちゃんと持ち帰るぐらいの事はわかってますって。
「いやー、それにしても柿好きだよなぁ」
ニシシと笑う雅史君、なんでそんなに笑うかなぁ。もう、これはしばらくネタにされそうだ。
「あ、そうそう、あんまり食べ過ぎると太るからな」
そういいながら美味しそうな柿を差し出してくる雅史君。
「うー」
誘惑に誘われて手を出す私……べ、べつにいいもん。今日の分は明日取り戻せばいいもんとばかりに一つパクパク。
それにしても雅史君はやさしいんだか、いじわるなんだか……。
そもそも、柿は秋の食べ物だからいつも食べられなくて残念がっている私に雅史君がこの秋の園を教えてくれたのは昨日の事。さっそく行きたいっていった私の言葉通りに雅史君は一緒に来てくれた。そんな雅史君にはいっつもおちょくられてるけど、たまにはちゃんと恋人っぽい雰囲気になりたいもんね。後で二人っきりになったらちゃんとアピールするんだから……。
あ、この柿美味しそう。一つ味見をしよう、うん、美味しい。
「それにしても今日は空いてて良かったなぁ。ここにある柿選び放題、食べ放題だぞー」
ん、そういえば、あれ? ここには私と雅史君だけ? ふ、二人きり……。
ど、どうしよう。柿食べてる場合じゃないよ……柿はおいしいけど、雅史君とラブラブっぽい雰囲気になるチャンスだし、えっと、ど、どうしたら……。
「? どうした? ほら、これ」
雅史君は私のグルグル状態に気づいていないのか自分のカゴに摘んだ柿の中でもひときわ美味しそうなのを私に渡そうとした。
で、でも二人きりなのに柿もらうのに手渡ししたら余計気になっちゃうよ。
「ま、まだ、今食べてるのあるから!」
私は赤くなっていく顔に気づかれないように後ろを振り向いた。あ〜、もしこれで雅史君が私を嫌ったらどうしようか?
「……どーしたのかなー?」
なんとなく笑いながら私に聞いてくる雅史君……う、なんかバレてる?
「な、なんでもないんだから、か、柿を味わってるのよ、うん、そう」
クスクス笑う雅史君の声を聞きつつも私は柿を食べる事に集中した。ひとまず食べる事に集中して落ち着こう。うん。
ある日の秋の園風景 その2
「おい……」
「モグ……ん、ひゃに?」
ダイくんの声に私は振り返った。んー、この至福の時がたまんないなー。
「お前、それ何個目だ?」
ダイくんの言葉に口を動かしながら考えてみる。おいしい柿だからとパクパク食べてたけど……。
今何個目だっけ? よく覚えてない。
「んー、わかんない」
次はドレ食べようかなぁっと手に抱えた柿の中から見極めようとする。
もちろん、美味しそうな柿しかもぎ取ってないわけだけど、こう、私を食べて! と叫んでいる柿を選ぶべき。
特に柿の食べごろ期間は柿の一生の中で限りがある。けど、どんな柿でもじっくりと見ると今が食べごろとわかってくるものなのである。そんな柿の一瞬を見逃すような私ではないのだ。
「なぁ、話聞いてる?」
柿一つだけじゃない、そもそも柿狩りにだってコツがあるのである。一見見たところどれも大して違わないのじゃないかと思う人もいるかもしれないが、実は柿の取り方一つだけでも重要である。
「おーい、もどってこーい」
柿の美味しさだけでなく、その柿の木の今後の事を考えるとブルンブルン。
「……って、え?」
? なんか身体が揺れてる?
「おーい、もどってこいよー」
「え、何? ダイくん何か用事?」
身体が揺れているのがダイくんのせいだと気づいた私は何のようかと顔をしかめた。
「……まったく、柿好きなのはしっていたけどなぁ、僕をムシするな」
溜息をつくダイくん。んー、嫉妬? もう仕方ないなぁ。
「そんなことないって、今日のデート、最高だよ?」
「……柿が最高……なんだろ?」
目がジト目になっているダイくん。
「だいたい、お前はいっつもそうだ。果物の事になると僕をほったらかしにする……」
あ、なんか内に篭り始めた? なんてーかな、もう、仕方ないなぁ。
「……ダ・イ・く・ん」
吐息がダイくんの耳にかかるように私はささやく。
「ぎょ! って何すんだ!」
目を丸くして湯気が立つほど真っ赤になるダイくん。うん、果物もそうだけど熟してる方がかわいいよね。
「まぁまぁ、ダイくん。なんだったら一緒に食べる? ナイフ持ってきてるしなんだったら切り分けて食べさして
あげるよ?」
「何言ってるんだ、子供じゃないんだぞ」
ふてくされるダイくん。む、熟してない。
「あーんってしたげるよ? ホラ、恋人同士がよくしてるじゃない?」
私の言葉に見る見る熟し始めるダイくん。やっぱりダイくんも果物も熟してる方がいいよね。