おすすめスポット

洞窟

嬉しいハプニング続出!?

 秋の園の白秋山を始めとする山々にはいくつかの洞窟がある。そんな洞窟のいくつかは観光場所として公開されており、観光客は洞窟を探検する事が可能なのである。

 公開されている洞窟にはそれぞれ特色があり、家族向けからカップルまでの様々な要望に応えられるように用意されている。家族向けの場合は子供が探検気分を味わえるように少しだけ高低のある箇所や狭い道などがあるアスレチック風な場所などがある。そしてカップル向きの洞窟は男の子が勇気を出して女の子を引っ張っていけるように少し灯かりを暗めにし、臨場感を味あわせるなどの趣向を凝らしている。洞窟の奥に地底湖がある場所をカップル向けに開放し、神秘的かつロマンチックな演出を行うことで、「今ここにいるのは二人だけ……」というラブな空間を作り出している。
 洞窟探検も時には危険がつきまとう。そんな安全面や、入った洞窟に別のグループがいて雰囲気が台無しになるなどといった事を防ぐために、秋の園では随所に仮説テントを設置させ、洞窟探検用スタッフの人が最適な洞窟を紹介するようにしている。
 スタッフの人は観光客がどんな洞窟に行きたいかという要望を聞き、洞窟を紹介する。探検グループ以外の邪魔が入らないようにという事だけでなく、場合によっては洞窟案内なども行う。洞窟探検に求められるあらゆる要望に応えられるように、さまざまなコースを用意し紹介するのがスタッフのお仕事である。
 小学校の修学旅行などの子供の集団相手用のサービスなども行っている。子供達全員分の洞窟探検隊マークの入ったロゴの帽子、バッジ、ジャケットを用意し、長官風の衣装を着て、子供達へ洞窟の奥にある宝を取りに行くように指令する……といった趣向を凝らすこともあり、修学旅行のコースの一部として秋の園に訪れる学校もある。
 また、洞窟へ向かった観光客の帰りが遅い場合はスタッフの人が様子を見に来てくれたりもするのでアフターサービスもばっちりである。(ただしカップルは例外的で非常時用に小型の無線機を渡される)
 洞窟探検をより本格的に味わいたい人用に、カンテラやたいまつなどのレンタルサービスなども行っており、ちょっとした探検から本格的な探検までと様々なコースがある。ただ洞窟を探検するだけなら無料で最適な場所を紹介してもらえる。しかし、子供が楽しめる、恋人との雰囲気づくりにピッタリ、といった要望にあった空間を提供してくれる、演出溢れるコースの方の人気が多く結果として大勢の人に親しまれている。

ある日の秋の園風景

「さて、冒険隊はいよいよ、洞窟の中へ入っていくのでした。っと準備はいいかい? カナちゃん?」

「……うん、問題ないよ」

 オレはカナの言葉に頷くと右手にもったカンテラを掲げ、洞窟の向こうへと足を進めた。左手はカナの手に触れるような触れないような位置に置いておく……ホントは手握りたいケド、いきなりはマズイよなぁ。

「あ、ああ、怖かったらババンと俺の胸に飛び込んできていいからね」

 オレは自分でも自信のある笑顔でカナへとアピールした。なにせ、今回の趣向はキャーと叫んでカナが俺の胸に飛び込んでくるように秋の洞窟でビックリドッキリ作戦なのである。

「……別に問題ない」
 
 オレの言葉に連れない返事を返すカナ。なんとなく寂しいような気もするけど、返事してくれなかった以前を考えると返事してくれるのがうれしい。

「さーて、何が出るかなぁ」

 洞窟の奥へと一足二足と歩を進めるオレ。カナはオレの後をついてくる。うー、今のオレってカッコイイかも。

「……足、滑りやすいから」

「お、ありがとうカナちゃん!」

 オレの心配をカナがしてくれた事に感激! ビックリドッキリ作戦でなくても、今日はココに来てよかった!

「キーキー!」

 ん、なんか変な音? 洞窟の奥から聞こえるような……。オレが覗き込むように奥を見てみると……。

バサバサバサ!

 急に黒いモノがオレ達の方へと向かってきた!

「わ、わー! な、なんだよ!!」

 オレはとっさに逃げるためにカナの手を握ると入り口の方へと走ろうとした。が、手を引かれ止まってしまった。後ろを見るとカナがついて来ないでその場にボーッとしている、かわいいけど、今は見とれている場合じゃない。

「カナ! 危ない」

「……問題ないよ」

 カナの言葉通りなのか、そのまま黒いモノが俺達を無視し、通り過ぎていった。……よく見ると、コウモリだ。

「……、あー、えっと」

 なんとなく一人で勝手に騒いで逃げようとしたのが恥ずい。

「……問題なかったよ?」

「あー、うん、行こうか?」

 オレの言葉にカナは頷いた、なんというか慌てたのが恥ずかしいオレはそのまま洞窟の奥へとカナと一緒に歩いていった。