秋の園は秋の風物詩満載!

秋でしか味わえないイベントが年中楽しめる

 みなさんは秋といえば何を思い浮かべますか? 紅葉狩り? ハイキング? それとも栗拾いでしょうか?

 そんな秋でしか味わえないイベントがいつでも年中楽しめる。それが秋の園です。

 宰相府藩国の地下に存在している秋の園では一年を通して紅葉を楽しみ、秋の風流を感じる事ができます。
 また秋ならではの催し等も随時行われており、観光客はもちろん、子供から大人、カップルまで対応した様々な観光スポットがあります。

 秋の風物詩である紅葉はもちろんのことですが、山の美味しい空気、龍星川を流れていく水の音、そしてひょっこり顔を出すリス。
 そんな秋の空間を演出するために園では実際の秋の様子を可能な限り再現しています。温度等を徹底し管理し、地上の水路から差し込む太陽の光を屈折させ、実際の太陽光を園に届けさせています。もちろんそれだけでは光が弱いので擬似的な太陽光を作り出し、また天候変化をも実現させています。

 そのため、秋の園では時折雨が降ることがあります。そのときは雨に濡れる落ち葉の中を秋の園で販売している和傘で歩くのも情緒があり、園の別の一面を演出しています。
 そして夜になると、秋の園に生息している虫たちの大合唱が始まります。秋の園は24時間無休で開かれているので、そんな大合唱を聞くこともできます。通な観光客は夜になるとホテルを出て、秋の園まで赴き、秋の夜空をバックに自然が生み出したオーケストラを楽しんでいます。

ある日の秋の園風景

白秋山
息をのむ美しさの白秋山
 私の祖母は山に来るととてもいきいきしています。口数が増えるわけではありませんが。

 ロープウェイから愛おしそうに外を眺めている時は、会話はありません。
 ただただ黄色いだけの景色を2人でながめます。
 私はロープウェイにゆられながら、今日はどこを回るんだろうと考えます。
 私はついていくだけです。道順は決まっているわけではありません。

 ロープウェイから降りると、祖母は今日は参拝しようね、と言いました。
 どうやら祖母の調子はいいみたいでした。神社までは遠いですから。
 私たちはゆっくりと、確実に歩いていきます。

 神社まで歩きながら、いろいろなことを話します。いろいろ、と言っても話題は秋の園に関することだけです。
 なぜだか、そうなってしまうのです。

 今日は人が少ないね、とか。
 この赤はきれいだね、とか。

 これだけ長い間秋の園に通って、どのような植物が植わっているかを覚えない私は頭が悪いのかもしれません。
 そんな私に、祖母は根気強く教えてはくれるのですが。
 私は赤は赤にしか見えません。祖母には違うように見えるそうです。

 そんなことを話したりしながら登っていくので、途中で休憩をとります。
 話さなくても休憩をとるかもしれませんが。

 秋花堂でお茶を飲みます。
 祖母がとてもおいしそうに飲むので、いつも祖母と同じものを頼みます。
 なんのお茶かはわかりません。前に聞きましたが忘れました。

 「今日はどこまでいくんですか?」
 同じ年齢の店員さんが話しかけてきました。
 私は微笑むと神社の方を指さします。
 「果樹園ですか。栗っておいしいですよね」

 私はいつも彼女の名前を聞くのを忘れます。話していると少しずつずれていくのです。いつのまにか。
 祖母はいつもおかしそうに私たちの会話を聞いています。助け船はありません。
 何故か他の店員の方も笑っています。いつも。

 神社に近づいてくると静かになります。祖母の表情も真剣になってきます。
 見よう見まねで参拝を終わると、近くのベンチで日向ぼっこを楽しみます。
 2人で一緒のベンチに腰かけて、秋の園を見下ろします。
 2本の足でここまで登ってきたのかと思うと、胸がいっぱいになります。
 いつもいつも、決まって。何度も来たはずなのに。

 祖母は決まって微笑んでいます。

 ここまで登ってくるのはかなり大変なはずなのに、私はまたここに来ようと思ってしまいます。

詳細地図

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