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苺畑

「苺畑は…とうちゃっく!
 惣一郎も探さないとですが、お仕事もちゃんとやらないと。
 ここを探せばもう半分回った事になるんだから、そろそろ見つかるはずです」

「こちらは、苺畑です。
 名前の通り、一面の苺畑になっています。
 ここは春の園なので、一年中気温が暖かい状態に保たれています。
 しかし苺には休眠期、つまり一時的に冬の状態にすることが必要なので、
 エリア内をさらに区画に分けて、交代で擬似的に冬の状態に保つ場所を作っています。
 このことで、常に苺の収穫期にあたる場所ができるわけですね。
 休眠期エリアは、一般のお客様は立ち入り禁止なのでご注意下さい。
 食べ頃の苺がたくさんの場所を、堪能してください」

「惣一郎、近くには見当たりませんね…(独り言)」

「それでは、苺畑を案内いたします」



「このへんかな、いい感じに食べ頃なのは。
 おーい、こっちこっち」

「んー?」(すでに歩きながら苺を食べている)

「はやっ!」

「おいしいよ。そのへんのつまんで食べてみたら?」

「俺が食べさせたかったんだけどなあ」

「食べさせてくれてもいいのよ?」

「んじゃ、あーんしてー」

「うん、おいしい。お礼に・・・あ、いいところに。そこのガイドさーん!」

「なんか期待させるものあったみたいなんだけどなぁ」

「はい、なんでしょう?」

「この苺だけどー。
 そのまま食べる以外のサービスあるの?」

「はい、ありますよ。
 この先の建物にいけば、苺につけて食べるための
 砂糖、ミルク、練乳などがサービスされています。
 ただし、これらのサービスは屋外持ち出し禁止ですので、
 ここで苺を摘んで、建物まで持って行くようにしてください」

「ふーん。持っていくのはいくらでもいいの?」

「いくらでもかまいません。
でも、食べられる分だけにしてくださいね」

「いくらでも食べられるって」

「ここで、苺を使った料理とか作れないかな?」

「毎日決まった時間に、いちごジャムなどの作成体験教室がありますよ。
 スケジュールは、春の園の入り口と
 体験教室の入り口の2箇所に掲示されています」

「ふーん、俺、作ってこようか?」

「いらないいらない。デートって言ったの誰だった?」

「俺です。今度作るから、食べてもらえる?」

「おいしく作れたらね、きしし」

「いくらでも作って差し上げますとも」

「簡単なところでは、いちごピューレを作って、
 用意されているアイスやパンケーキにかける、というのもありますね。
 こちらは時間もかからないので、いかがですか?」

「あー、それくらいなら・・・いやいや」

「じゃあ、普通に食べられるものの紹介も。
 実はですね。
 苺がたっぷりあるのと、隣のエリアに喫茶店があるため、
 このエリアでは、試食メニューが食べられることがあります。
 今なら、苺パフェの試食や苺のシャンパンの試飲が出来るみたいですね。
 よろしければ、試食コーナーに行きませんか?」

「うわ、パフェ!? 行く行く!」

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「ちょっとまっててくださいね…はい、どうぞ」

「うわーうまそー!!」

「喫茶店の新メニューになる前に、こちらで提供してお客様の評判を確認するんです」

「あの、それでですね。
 もし知っていたら、教えてほしいことがあるんですっ」

「どしたの?」

「うちの惣一郎見かけませんでしたか?
 姿は、黒髪でメガネかけてて・・・要はヤガミなんですけども」

「俺は見てないなー」

「んー、さっきパフェの説明聞いてたときに、そんな感じの人が、あっちの方に向かってったよ」

「ほ、ほんとですかっ」

「似てたと思う」

「ありがとうございますっ。
 それじゃ、私はいきますね。
 ええと、パフェの容器は、試食コーナーの隅に返却所がありますから!」

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「すごい勢いで走ってったな・・・」

「まあ、いいんじゃない?」

「ところで、俺にも一口・・・」

「だーめ、私がもらったんだから」

「まあ、俺はおいしそうに食べてる姿が見られればいいか」

「よしよし(頭なでなで)。
 さっき食べさせてなかったし、一口だけよ?」

「ほんとに?」

「いやならやめとくけど?」

「お願いします。
 食べさせてくれないと全俺が死ぬ」

「おおげさね。ほれ、口あけて・・・」

/*/

「あちらに進んでいけば…たんぽぽ&クローバーの園。
 見晴らしもいいところだし、惣一郎も見つかるはず。今度こそっ」

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