ここに来て何をするかというと、別に特別な事をするわけではない。ただ単に彼女と話をするだけだ。
と言っても、彼女はこの何の変化もない砂漠にいるのでコレといった話題がない。なので大抵私が外で起こった出来事を聞かせる形になる。
 年相応に、どこぞの動物園で生まれた珍しい動物の赤ん坊の話に目を輝かせたかと思えば、次は新型I=Dの事を興味深そうに聞いてきたり、未だに彼女の興味の傾向が分からない。雑学や豆知識の類が増えたのは彼女のせいといっても過言ではないだろう。

 話に区切りが付くと、彼女は空を見上げた。つられて私も上を向くと、もう日が落ち始めていた。
「そうか、もう時間か・・・」
 視線を戻すと、彼女はもう遺跡の入り口にいた。さっきまでの笑顔とは違う悲しそうな笑顔を見せながら。

次のページへ
TOPページへ