砂漠には2つの顔がある。
 訪れる者の身を焼く灼熱を帯びた黄金色に輝く昼の顔と、それとは真逆に肌を裂くような冷気に包まれた白い夜の顔だ。
 この2つの顔は、果ての砂漠にも例外なく存在しており、昼夜が真逆の気温に包まれ、まるで別世界のような景色を見せてくれる。
 砂漠における暑さの主な要因は、頭上で燦々と輝く太陽光である。つまり夜になればその太陽が落ち、植物や水源の少ない砂漠の大地は、急激に気温が下がる。
 特に果ての砂漠ではそれらに加え、オアシスなどの水源がほかの砂漠に比べて少なく、水路のある両端と中央付近を比べると、まったく別の温度差を持った地域が誕生している。そして砂漠とはもとより、大地が風化して広がっていく。その温度差が低い水路と高い中央付近では、見える風景がまるで異なる。
 つまり、果ての砂漠は、厳密に分けるとするなら3つの顔を持っていることになるのだ。

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