さっきまで並んで飛んでいた飛行機が一斉にバラバラの方向へ飛ぶ。
「始まった!」
 彼は手にしたカメラでその光景を撮っている。目をキラキラさせながら。
 私もそれに釣られて空を見上げる。
 私の視界の中で白と青の飛行機が複雑な動きをしながら宙を舞う。
 時折、キラキラと太陽の光を反射させながら。
 右へ左へ。上へ下へ。
 ある時は直進しながら、ある時は大きな輪を描きながら。
 空を切り裂いて飛ぶ白い軌跡……。

「……綺麗」
 いつしか、私はその光景に魅入っていた。
 どれくらい魅入っていたのか……。気が付くと航空ショーは終わっていた。
「終わっちゃったね」
 私のその一言で彼はハッとなって私に振り向く。
「ご、ごめん。デートだって言って誘ったのに……」
「いいわよ。別に。それより、模型を展示してあった場所にもう一回行きましょ!」
「え? でも、こういうのに興味なかったんじゃ……」
「いいから! ホラ行きましょう!」
 私は彼を置いて模型展示場に歩き出した。
 なんだか、飛行機が好きになれそうな気がした。
 さっきの飛行機はあるのかな?

Fin

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