人ごみを掻き分けるように移動する。
 唐突に彼が立ち止まり、呼吸も整えないまま空を指差す。
「ほら! あれ!」
 見上げる私の視線の先に、白と青の飛行機が空の彼方から近づいてくるのが見えた。
「えーと……今日使われている広域無線はどれだ……今日は、無線封鎖はないはずだけど……」
 彼は何だかバッグの中から機械を取り出して熱心に操作している。
 えーと……無線機って言ったかな?
「えーと、えーと……来た!」
 彼がそういうと同時に、二つの機械から別々の音声が流れ始める。
 あの飛行機に乗っている人たちの会話かな?

『こちら、アートポストリーダー。間も無く目標地点に到達する。
 今日の相手は我々が慣れ親しんだフェイク2と皆の憧れ、秘書官のお嬢さん方だ。こちらは新型のアートポストとはいえ油断はするなよ』
『アートポスト1。了解した』
『アートポスト2。了解』
『こちらアートポスト3。了解した』
『アートポスト4。了解。心配すんなって。皆この俺様が撃墜してやっからよ』
『そんな事言って、この前砂漠に胴体着陸する事になったのはどこの誰だよ』
『ふ、古傷を抉るなよ!』
『アートポスト3、アートポスト4。それくらいにしておけ』
『アートポスト2よりアートポストリーダーへ。フェイク2を確認』
『来たか。アートポストリーダーより全機へ。幸運を祈る』

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