男はほんとよく助かったもんだと苦笑しながら、グラスの氷が溶けて溜まった水を飲み干した。
「以上だ。満足か?
まあ怖いことばっか言ってた気がしないでもないが、深いところまで踏み込まずにただ景色を楽しむだけならこれ以上の風景は果ての砂漠じゃ見つからんだろうよ。
絶え間なく動く白い大地が昼夜を問わずに輝いてるんだ。まるで光の海みたいなところだよ、あそこは。遠めに塔が見える位置をとれれば言うことなしだな」
彼は最後にそう言って笑い、先に席を立った。
取り残されてしまったので、私も最後に一言書き加え、筆を置こうと思う。
これから果てへと至る旅人達に、どうか神の加護がありますように
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