夏の園2泊3日の旅〜お疲れ様でした〜 |
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夏の園の中心地からはかなり離れたどこか。 一般の人達には知られていない、 周囲を山と木々で遮られたエリアの風光明媚な海辺に作られた白い別荘――それが秘書官保養地です。 本来は宰相府の要人用別荘なのですが、 普段は宰相府に勤める秘書官が保養で使う事が多いため、現場ではこのような呼び名が定着しております。 利用権限を持つのは藩王と秘書官のみ、残念ながら華族であっても摂政では利用する事が出来ません。 そして利用する人間が暗殺の危険性が高い要人中の要人であるために、警備も厳重になっています。 施設の維持管理と警備の要員を兼ねた精鋭バトルメード達が常駐しており、 エリア周辺に設置されている監視カメラやセンサーの情報を元に、許可無く保養所へと入り込もうとする者がいても、利用者には一切気づかれること無く対処を行っています。 保養所を利用するにはいくつか手続きを行う必要があります。 まず宰相府にて施設利用許可証を貰うための申請書類を作成します。 この時点で宰相府へ入るためのチェックがあるのであからさまな不審者はシャットアウトされます。 そして作成した書類を秘書官の長(東方有翼騎士団長)である風野緋璃女史か、 女官長であるヒルデガルド女史に提出し、許可証を発給して貰います。 当然の如く本人照合等が行なわれるので、 秘書官や藩王の名を騙って利用しようとする人間は摘発されます。 チェックが済んで許可証が発給されたら、 宰相府内に設置されている専用のリンクゲートを利用して保養所へと移動することになります。 リンクゲート使用により、保養所への移動中に要人が襲われる危険を回避・排除できます。 また、秘書官と帝國の藩王に関しては許可証発行の手続き時に護衛の申請を行なう事が出来ます。 申請が通れば宰相府騎士団の人員による警護を受けられ、より安全に余暇を楽しむ事が可能になります。 尚、共和国の藩王も『外交使節』という形で保養所の利用は可能となっておりますが、 残念ながら護衛の申請に関しては不可となっております。 施設の警備は凄まじいと言われていて、利用した人物からは 『林間部には警備部隊が常に巡回し、果樹園一帯にいたっては木の葉1枚落ちただけでも警報が鳴り、 犬が舞い込んだだけでI=Dがスクランブルを掛けるほどだ』というような冗談が出るほどに、 堅牢なセキュリティが敷かれています。 ですが、政府要人である藩王や秘書官に“もしも”の事が無いように 充実した最高ランクの警備体制が整えられていることは間違いないでしょう。 さて、セキュリティについての説明はここまでにして実際の保養所の紹介に移りましょう。 内陸にある砂漠からの風を山と木々で防ぐような形になっている海辺に建てられた純白のコテージ。 コテージの白い外壁と視界一杯に広がる透明なエメラルドグリーンの海、 さらさらの白い砂浜が夏の園の日差しを照り返してより一層眩く映ります。 コテージから僅か20m程の距離にあるビーチは、一部の要人のみが利用出来る特別なエリアとあって、 完全なプライベートビーチと言った趣きです。 コテージの内装は、多忙な秘書官や藩王が日頃の疲れを癒してくつろげるよう、 広々として落ち着いた明るいしつらえになっています。 いつも掃除が行き届いていて、急な来訪にも対応できるように完璧な状態が保たれています。 ゆったりとした大型ベッドと書き物机、応接椅子とテーブル、サウナルーム付きのバスルーム、 そしてルームバー……ゆっくりと杯を傾け、日々の忙しい時を忘れるには最適です。 利用者のプライベートな空間を守るため、基本的にコテージ内に人は控えていませんが、 メードさん達が別所に待機しているので、用のある時は連絡するとすぐに対応してもらえます。 これらの気配りの利いた接客を統括するのは、落ち着いた温かい笑顔が魅力的な婦人です。 メード達に的確な指示を出し、 利用者が最高に心地よく過ごせるように常に計らってくれる“女主人”とでも呼ぶべき人物で、 この保養所がホームのように心安らぐ場所であるのは、彼女の細やかな気配りによる所が大きいでしょう。 敷地内には秘書官保養地利用者のための宿泊施設が置かれた居住棟の他、 通信施設、常駐職員の居住施設、連絡機発着場などの施設があります。 緊急の場合のための執務室もひそかに用意されています。 その他利用可能な設備としては、手の行き届いた綺麗な庭園や、 テニスコート、プール、ジム、エステ・マッサージ施設、ホログラムデッキなどがあります。 刺激的な娯楽はありませんが、 日頃激務に追われる秘書官や藩王が心穏やかに最高の休日を過ごせる様に作られた 宰相府要人用の別荘地――それが秘書官保養地なのです。 |
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