砂漠に古くから住んでいる砂漠の民達にとっても、果ての砂漠におけるオアシスと言う土地は、定住するにふさわしい土地ではないのである。
 宰相府の統計によると、果ての砂漠では百Km四方に一人程度の割合でしか住民がいないと言われており、その中でもオアシスを訪れる人間は砂漠の民を除けば皆無である。
 たまに訪れる砂漠の民も、ほとんどが一人で瞑想を行いながら数日を過ごす程度のため、他国のオアシスと比べて自然が壊れて砂漠化する要素が全くない。

 それ故に果ての砂漠のオアシスは自然のままの姿を保っている。
 そしてそのオアシスはとても小さい物であるが故に、砂漠を旅する者に心の安らぎを与えるよりも、寂しさと不安を呼び起こす。
 だがそれがかえって砂漠の中のオアシスの孤独が砂漠の神秘性を引き立たせ、感動的な情景を生み出しているのだと言われている。

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