ようこそ!宰相府藩国へ
熱砂のオアシスにして帝國の中枢
『宰相府藩国へようこそ。公務でお越しの方は0番ゲートへ、帰国者の方は1番から2番ゲートへ、ビジネス・観光でお越しの方は3番から16番ゲートをご利用下さい……』
『1000マイル以上の貴金属・カメラ等を持ち込まれる方は、緑の用紙に記入の上入国審査窓口へ提出してください』
『センサー類に異常は感知されませんでした。身分証明書にも問題はありません……ようこそ、宰相府藩国へ。』
入国審査場のゲートを抜けると、雑踏の喧噪とともに乾いた空気が一気に流れ込んできます。
出国ロビーを抜けて外へ足を踏み出せば、そこには降りそそぐ太陽の日射しと吹き抜ける風。
天領の一にして帝国の要である宰相府藩国は、西国人の国なのです。
街々を行き交うのは灰色髪のエキゾチックな人々。身にまとっているのは、全身を包み込むような服。砂除けでもあり、日焼け除けでもある、独特な衣装です。
しかし、ここは帝国の中心たる宰相府。西国人に限らず、さまざまな国の人々が集まってくる人種のるつぼです。商人、外交官、観光客……かつてのシルクロードの交易路のように、帝国はもちろん宇宙各地から人々が集まってくるのです。海の彼方から、宇宙の彼方から、リンクゲートを経由してさまざまな異国の産物や人々が行き交います。しかし港から一歩内陸へ足を踏み入れればそこは荒涼とした砂の大地。果てのない砂の大地が続いています。
ここはまさしく熱砂の国。
【宰相府藩国MAP】
(作図:劔城藍)
けれども宰相府藩国が単なる砂漠だけの国でないことは、帝国の政治・経済の中心地であることを考えれば解っていただけるものと思います。
港ないし空港から宰相府藩国に足を踏み入れ、そのまま熱砂の中を藩国中心部へと向かうと、まもなく砂漠の中に忽然と現れる摩天楼があります。
乾いた大地から澄み切った青い空へ伸びる典雅で勇壮な高層ビル群こそ砂漠の中のオアシス。それは蜃気楼などではなく、宰相府藩国の中枢が集まったエリアなのです。そして、その中心で一際高くそびえ立つ巨塔こそ、宰相府藩国のランドマークタワーともいうべき巨大な水の塔です。砂漠の真ん中の高層建築の天頂から滝のように水が流れ落ち、その水は湖を作り、並木の間の水路を通って都市外へ流れ出し、それがやがて大河となって海へと流れこんでいきます。
砂漠のオアシスというと、なんとなく「小さな泉に木が1本」というイメージになりがちですが、アイドレス世界のオアシスでは巨大な湖「ネン・ミミラエル(Nen-mimirael)」と巨大な尖塔「水の巨塔」が旅人を迎え入れてくれるのです。その光景を見て、畏怖心や感動を覚えない者はさほど多くはないでしょう。
画面右側のメニューバーの操作で、この国の主なエリアを訪問することができます。
政治の中枢たる宰相府。
国賓を迎える厳粛な迎賓館。
藩王宰相や秘書官たちが優雅な生活をおくるハイマイル地区。
一般の国民が住む躍動感あふれる居住区。
藩国の玄関であり護りの要でもある軍港と飛行場。
この藩国をリゾート都市としても知らしめるもととなった、春夏秋冬の庭園。
そして不思議に満ちあふれた果ての砂漠。
それでは、宰相府藩国での滞在をお楽しみ下さい。
交通手段
宰相府藩国の各エリアを結ぶ移動手段は、リンクゲート、船舶、車輌、鉄道が主なものとなります。他にも飛行船や砂帆船もありますが、飛行船はどちらかというと観光手段ですし、砂帆船は競技用のものがほとんどで、どちらも日常の大量輸送には適していません。
船舶
藩国外との人や物の行き来は船舶による輸送が中心となります。
リンクゲートを通って、さまざまな大型小型の船舶が藩国の港へと横付けされます。小型船はそのまま中央の湖まで水の巨塔を水源とする運河を遡ることもありますが、喫水の関係もあり、たいていの場合は港から鉄道に乗り換えることになります。
代わりに水の巨塔と各エリア・港の間を結ぶ運河上に見られるのは、喫水線の浅いタイプの輸送船です。重くてかさばるものを大量に輸送するという点では、圧倒的な優位性を誇る船舶は、今なお建設ラッシュに湧く宰相府藩国における物流の要なのです。
車輌
交通機関としては、各エリアの市内道路と、各エリアを結ぶ砂漠横断道路をご利用いただけます。
砂漠の中をただひたすらにまっすぐ貫く4車線道路は藩国の大動脈といえるかも知れません。その砂漠道路の両脇には、乾草や熱に強いタマリスクの樹が延々と植えられています。これは薄桃色の花で人々を楽しませるのが目的ではなく、藁などで作った草方格と共に流砂を固定して道路が砂で埋まらないようにするための工夫です。
物好きな観光客がこの砂漠道路で砂漠を横断しようとすることもありますが、利用するのはもっぱら輸送用の大型車両です。なお、地図には基幹路線だけ表示してあります。
鉄道
鉄道もまた重要な交通機関の1つです。
湖を取り巻く市街地では地下鉄が要所要所を結んでいますが、この国を訪れた人々が真っ先に目にするのはリニア鉄道でしょう。
海から宰相府藩国に到着した人々の多くは、そのまま砂漠を横断するリニアモーター駆動の新幹線で目的のエリアへと向かいます。各エリアが近づくと、新幹線はそのまま地下の駅へと吸い込まれていきます。
また貨物輸送や低額料金の旅客輸送手段として、ディーゼル機関による鉄道も平行して運行されています。
リンクゲート
宰相府藩国内で使用されているものは、人間大のものを通す仕様になっております。大量輸送を考えておらず、またセキュリティの観点から、個人情報を登録した人物のみのご利用となっており、利用の際は毎回チェックを受けることになります。
飛行船
飛行船は輸送手段というよりも、観光客の皆様にゆったりとした旅をお届けする観光資源として愛されており、中でもハイマイル地区での食事も楽しめる空中遊覧は人々のあこがれの的です。
砂帆船
競技用のものがほとんどです。稀に個人所有の砂帆船で砂漠を踏破する方もいらっしゃいますが、危険をともなう冒険であるため、一般にはお勧めしておりません。