交通


・水上バス『ボーダー』
 居住区は【田の字型】の運河によって4つの島と中央の小島に分けられています。
 そのためこの居住区では、『ボーダー』と呼ばれる水上バスが、最もポピュラーな移動手段として使われているようです。
 『ボーダー』の航路は、居住区の外周を時計回りに回る航路、【田の字】の各【口】の周りを反時計回りに回る航路、中央の小島の周りを反時計回りに回る航路、の全部で6航路あります。
 うまく乗り継いでいけば、1辺10kmある居住区のどこへでも、1時間程度でたどり着けるそうです。
 さて、居住区滞在中に何度もお世話になるでしょうし、チケットを買うとしましょう。

  ***チケット***
   1回券:2わんわん
  6時間券:7わんわん
  12時間券:11わんわん
  24時間券:16わんわん
  36時間券:20わんわん
  48時間券:23わんわん
  72時間券:25わんわん

 チケットの種類を見れば判るかもしれませんが、『ボーダー』は1回券以外は時間内であれば、何回乗り降りをして何処へ行っても同じ値段です。
 これも『ボーダー』が、居住区の主要交通機関になっている要因の1つなんでしょうね。
 私は数日居住区に滞在する予定ですし、窓口で72時間券を購入することにしました。

「72時間券を1枚ください」
「25わんわんになります」
 25わんわんを払うと、チケットと一緒になにやら紙切れを渡されました。
 その紙切れには
『k』
  の一文字だけが大きく手書きで書かれているだけでした。
「これはなんですか?」
「ひみつです」
 ??? 
 満面の笑みと共にそう言われ、私はこれ以上の追求を諦めました。

 チケットは非常に綺麗な、スカイブルーの半透明で無地のカードです。
 使い方は最初に乗る時に『ボーダー』の乗船口にある機械にカードを通すと、大きな字で日付と時刻が刻印されます。
 使用可能期限が経過したカードは、鮮やかな夕焼け色に染まります。
 また、1回券は少し特殊で、カードの半分だけが夕焼け色に染まり、残ったスカイブルーの領域に日時と、乗船した『ボーダー』の船体番号とが刻印された状態になります。
 カードそのものが非常に美しいこともあり、お土産品の1つとしても人気が有るというのもうなずけます。
 基本的に船内や下船時にチェックを受けることはありませんが、時々船内で抜き打ちチェックが行われるそうです。この時、万が一無賃乗車が見つかると、凄い額の罰金を取られるという話です。(もっとも、私の滞在中には1度もチェックをしている場面に遭遇することは無かったのですが)


・渡し舟『コリデール』
 私は宿泊予定地の近くまで、最短経路で『ボーダー』を乗り継いで移動しました。
 今夜の宿泊予定地は私の降りた停船所の対岸にあるのですが、橋は少し離れたところにしかありませんでした。
 こういう時のために居住区には、1回0.3わんわんという非常に安価な『コリデール』と呼ばれる渡し舟があります。
 『コリデール』の乗り場は『ボーダー』の乗り場に必ず併設されて居ます。それ以外にも『ボーダー』乗り場の間や橋の間など少し距離があると思うところにはいたるところに『コリデール』の乗り場はあります。

 日中は気がつかなかったのですが日が傾いて少し辺りが暗くなった時、私は『ボーダー』も『コリデール』も全ての船の前方の水面がほのかに光っていることに気がつきました。
 これは宰相府藩国の上層にある居住区の川底は、全て下層へ光を届けるために、非常に透明度の高い特殊な素材でできているため、同様に透明度の高い水との境界を知るのが難しいので、船底から特殊な光線を出して川底を把握するためだと教えてもらいました。
 それぞれの船から出ている光線はみんな色が違うようで、夕方から夜にかけて、居住区の水面がカラフルに染まる様は、滞在中毎日違う組み合わせで私を楽しませてくれました。


・バス(地上)
バス。
 居住区の各区画内は、別に運河網が張り巡らされているわけではないので、大部分は陸地です。
 大まかな移動や長距離移動には水上バス『ボーダー』で十分ですが、やはり陸地を移動するための交通手段も必要になってきます。
 そんな時に役立つのが、居住区が運営しているバスです。
 このバスは運河で区切られた4つの小区画のそれぞれに2路線ずつ走っています。もちろん、それぞれの路線に時計回りと、反時計回りのバスとが運行されています。
 バスは水路をまたいで、小区画同士を行き来する事はありません。同じ車体を使っていながら、それぞれの小区画の特色にあわせ、少しずつデザインが異なるバスを運用することで、どの小区画のバスなのか一目でわかるように配慮しているようです。
 小区画毎に少しずつ路線の形が違うのは、それぞれの小区画の主要な建物と、『ボーダー』の乗り場への接続がスムーズに行なえるようにするためなのでしょう。
 バスの料金は何処から乗って何処で降りても一律2わんわんです。また、『ボーダー』の72時間券を持っている人は72時間券の有効時間内であれば、何度でも無料でバスに乗ることができます。