リー・ストリート


 この小さなストリートは【マリッサ=ミスティカ】のオーナー、マリッサ=リー女史の名前を取って『リー・ストリート』と名付けられています。
 しかし、宝石商や宝石を扱う職人達が多く集うため、【宝石街】という通称の方が有名となっており、新しいデザインによるアクセサリーの発表は、ハイマイル区画でも注目を浴びています。


 このストリートでまず最初に宝石関係の店を営むようになったのは、アクセサリーを主に扱う【マリッサ=ミスティカ】でした。
 オーナーは腕の良い職人であるマリッサ=リー女史。開店当初は無名ではありましたが、彼女は、その繊細な細工と、これまでの修行で磨かれて来たセンスの良さで注目を集め、少しずつ有名になっていきます。

 その時流に乗り、シトリンとエメラルド、ブルーダイヤモンドをふんだんにあしらい、木の葉と魔法をイメージとしたブランド、『ミスティカ・シリーズ』を発表。
 このブランドが女性達から爆発的な人気を得ることとなりました。
 そしてその次に発表した、金とプラチナによる鎖と、真珠や黒真珠を大胆に使った『真珠の鎖』シリーズの高い評価と共に、第一級のブランドとしての地位を得ました。


 さて、これに目を見張ったのは、マリッサ=リー女史の親友兼ライバルであった、伊藤厚真(いとうあつま)氏。

 もともとは天領のとある大藩国で名声を得ていましたが、ライバルの躍進を知るや、経営していた店を畳み【マリッサ=ミスティカ】のすぐ近くに、現在の【シェンティア】を開業。

 熟練の手から産み出される、重厚かつシンプルな装飾は、多くの王や貴族の支持を得ました。
 やがて、騎士と戦士をモチーフとした『ハイランダーシリーズ』と、宰相府藩国をイメージした『砂の都』で、【マリッサ=ミスティカ】と肩を並べるようになりました。

 その後、マリッサ=リー女史と伊藤厚真氏は、開店以来の数年に渡る経営戦争と対立などを乗り越えて結婚。
 これを記念して【マリッサ=ミスティカ】と【シェンティア】が共同製作した『マリッジライフ』シリーズを発表。 このシリーズだけは、両店舗で販売されています。
 尚、両店舗の間で大喧嘩を繰り広げている夫妻の姿が時折見掛けられますが、もし立ち会われましたら、温かな目で通り過ぎて下さいますよう、お客様にはお願い申し上げます。


 【マリッサ=ミスティカ】、【シェンティア】のブランドが有名になるにつれ、一念発起した職人がその近くで店を構えたり、大国の有名宝飾デザイナーもこぞって出店しました。
 その原材料の供給のために、原石を扱う宝石商が集まるなど、一つの専門店街が自然とできたことから、【宝石街】と呼ばれるようになったのです。


 もちろん、ハイマイル区画の【宝石街】ですから、藩国では滅多に見られない宝石も数多く入荷致します。
 各店舗を巡ってお目当ての宝石を探したり、学術目的や収集目的で原石を手に入れる事もできますでしょう。

 ご要望に合わせた宝飾品やアクセサリーの製作や販売から、オブジェに組み込むための原石等、多種多様に渡る多くの宝石が、お客様をお待ちしております。

 最近では珍しい宝石に合わせてドレスが作られたことで、その宝石のお披露目と、装飾類の進歩のために、【バビロン区】に宝石展示館が建てられる等、多くの新しい試みがなされています。

 その成果の多くは展示館にて展示されておりますが、一部は店舗のショーウィンドウでも展示されておりますので、散歩がてらに覗いてみるだけでも、お客様の目を充分に楽しませてくれる事でしょう。

 気に入った店が見つかったら、原石やアクセサリーを持ち込んで、新しいアクセサリーに仕立て直してもらうのも、また一つの宝石街の楽しみ方。

 【宝石街】の各店舗が、お客様の満足のために、腕によりをかけて仕立て直しを致します。 お気軽に御相談下さいませ。


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