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「こちらが玄武の望楼になりまーす。
玄武の望楼は周りを掘りに囲まれ、橋を渡って中へ入るようになってますー。
また背後には亀の形を模した池がしつらえてありますが、
それは頂上に登ってから見降ろすのがよいです。
では、中へ参りまーす」
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「はーい♪」
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「……」
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「塔自体は木造になっております。中は暗いので足元に気をつけてくださいね。
七階建てで、頂上の物見台まで階段で登ります」
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「はい、がんばりまーす」
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「はーい、ゆっくり登りますので、ついてきてください」
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「到着しました。ここが頂上の物見台です!」
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「うわー、飛行船が大きく見える!すごい見晴らしですねー」
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「そうでしょ そうでしょー すごく見晴らしがいいんですよ。
遠くが霞んで見えるので、望楼のことを霞台、と呼ぶこともあるんです。
あ、さっき言った亀の形の池がほらあそこに」
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「わー ほんとだ。ほんとに亀の形になってるんですねー」
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「ええ。あと、今は動いてないんですが、
そのうちあの池の真ん中とかから噴水が噴き上がるようになるそうですよ」
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「へえ、それはまた見に来たいですね」
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「そうだな」
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「ええ、ぜひ、また来てみてください」
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「高い所だし、ここから惣一郎の姿みえませんかね…(きょろきょろ)」
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「蝶子さん、何かお探しなんですか?」
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「え、ええ、ちょっと、うちの惣一郎を…(ごにょごにょ)」
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「あ、そういえば、蝶子さんとこのヤガミ、いったいどちらに…」
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「その…はぐれてしまって…」
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「ええ!そんな、それはこんなところでガイドしてる場合じゃないじゃないですか」
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「いえ、いえいえいえ、ガイドは仕事ですから。ちゃ、ちゃんとやらないと…」
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「惣一郎さんをみかけませんでした?」
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「いや、俺は見てない。すまん」
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「え、いえ、いいんです…」
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「…(びぃいんと琴の音を立てる)」
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「琴の音…せ、仙女、さん?」
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「あ、そうですそうです。
望楼にはたまに仙女さんが現れるそうです。お邪魔しております(ぺこり)」
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「あ、ご挨拶が遅れてすみません。お邪魔しております(ぺこり)」
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(帽子を取って会釈)
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「どなたかお探し?」
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「え、え? あ、はい、惣一郎という男性とはぐれてしまいまして」
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「ふふ、恋人?」
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「☆○!▲☆◎!!…えとえと、はい…」
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「ここには恋人たちがたくさん来るわ…そうね…あちらにいるみたいよ?」
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「わ、わ、ありがとうございます!」
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「ありがとうございます!!!」
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「いえいえ、どういたしまして。会えるといいわね」
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「はい!」
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「わーよかったですね!蝶子さん」
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「え、ええ、よかったです!! 嬉しいです!!!」
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「惣一郎さんが動かないうちに、急いで行ったほうがいいですよ」
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「は、はい。では、失礼します」
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「頑張って見つけてくださいね!」
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「がんぱります!!!」
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「惣一郎さん、見つかるといいですね…」
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「そうだな…」
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