迎賓館の廊下を歩き続ける。
するとやがて、光が見えてきた。
それは次第に大きくなり、ついに廊下の片側に広大な庭が見えた。
「わあ…素敵」
庭を見て。ほぅ、とため息をつきながら呟くソーニャ。
半透明なドームに囲まれた庭。
空からは穏やかな光が差し、地には色とりどりの花々と緑あふれる木々。
丁寧に手入れされているのであろうそれらは、見事に調和していた。
「ここは迎賓館の中庭です」
案内をしてくれている秘書官の鐘音。
彼の説明によると、この中庭は記者会見などに使われているらしい。
実際に、その場所へと案内してくれた。
鐘音の後を皆がついて行く。
石畳の上を歩いて行く。
鐘音曰く、
温度管理のための半透明なドームに囲まれた中庭には、宰相府藩国内外から取り寄せられた植物が植えられているそうだ。
桜に桔梗、藤に水仙。朝顔、胡蝶蘭、スイトピーにアマリリス。
世界各地の異なる季節の花々が、お互いの雰囲気を壊すことなく調和し、咲き乱れている。
適度に降り注ぐ日の光はとても心地よく、美しい花々を愛でながらの散歩は心和むものであった。
そして、中庭の散歩道を歩み続けると、やがて石畳が敷き詰められた広場に出た。
散歩道と同じ明るいグレーの石畳の周囲を、四季折々の花と、鮮やかな緑が飾る。
ここが、中庭の広場。
記者会見やパーティが行われる場所。
備え付けられた白亜の美しいガーデンテーブル。
その上には、おもてなしのティーセット。
午後の穏やかな日差しの中、一同は美しい庭を眺めながらお茶を飲んだのであった。