**はじめに [#j0a497a2]
ここでは、SDを勤めることになった際の「敵」の動かし方について解説します。
A-DIC・ガンパレードを使って戦闘ルールを使用する場合、特殊な状況を除き確実に敵役が現れます。
それはセッションによっては幻獣であったり幻獣共生派だったり憲兵だったりしますが、それらは全てSDが動かすことになります。
その場合に困らないように、この解説を書きました。役に立てば幸いです。
マニアック戦闘を前提としていますが、通常の戦闘ルールでもできるだけ応用できるようなっているとは思います。

**重要なこと [#q19e2725]
この後、種類別に動かし方を書きますが、出来る限りどんな難易度でも「やりようによっては勝てる」という前提で敵の編制を組んでください。
伝説絶技の使用を前提としても良いし、PL達が知恵を絞れば勝てる、でも構いません。
迷った場合はルールブックにあるように、プレイヤーの総合火力×3倍が敵の火力、という程度にすれば良いでしょう。
TRPGである以上、みんなで楽しむのが前提です。どうやっても勝てないのはなるべく避けましょう。


**歩兵クラスの敵の動かし方 [#ub0ce9b0]

幻獣の大半や共生派、憲兵は分類で言うと「歩兵」になります。
殆どの場合、SDはゴブリンを動かすことが多くなるはずです。共生派や憲兵を敵として出す場合も、ゴブリン基準でデータを弄る、などとすればデータを作るのも楽でしょう。

歩兵である以上、役割は色々あり、動かし方は多岐に渡ります。
ここからは種類別に解説します。

***ゴブリン [#q91321d2]

一番動かす機会が多い幻獣になります。
基本戦術は、物量による蹂躪。すなわち、突っ込んで殴る。それだけです。
但し、SDはプレイヤーの位置を確認できていますが、敵は視程(500m)より外のものは見えていません。
位置が分かっているからといって突撃させると勝負は一瞬でつきます。先ずは視認(移動しながらの偵察)させましょう。
このとき、慎重移動にする必要はほぼありません。移動速度3での突撃の怖さをプレイヤーに植えつけましょう。

***ヒトウバン [#yad21bb3]

ゴブリンより一部能力が低い代わりに移動速度の速い幻獣です。
基本の動かし方はゴブリンと変わりませんが、浮遊している為に悪路や水の上もお構い無しです。
地図に川等がある時にだすと、良い感じにプレイヤーが引っかかるでしょう。
また、後述するゴブリンリーダーが敵編制に入っている場合は、指示を受けて飛行状態と移動速度を生かし、側面に回り込むなどしても面白くなります。

***ケンキ [#t014e437]

幻獣における偵察兵です。
800mある視程を活かし、プレイヤーを見つけて仲間に教えるのが基本の行動となります。
プレイヤーを見つけるだけが仕事で、戦闘することはめったに無いでしょう。場合によっては初期位置から動かないこともあります。
また、戦闘に緊張感を持たせる為にケンキを隠蔽させておく(見つけるのに偵察判定が必要とする)のも良いですが、難易度が一気に変わることに注意しましょう。

***ゴブリンリーダー [#u0b872e6]

ゴブリンに混じって登場し、ゴブリンたちに知性を与える幻獣です。この幻獣を出すときは、ゴブリンを数部隊つけると良いでしょう。
幻獣の指揮官のようなもので、この当たりが出てくると相手も戦術を使い始めるようになります。プレイヤーが慣れてきたら出すとよいでしょう。
本来突撃だけのゴブリンたちに移動状態の変化、防備状態の変化、迂回による側面攻撃、伏兵による奇襲などの指示を出す、プレイヤーを追い詰める役割と考えましょう。

***ガキ [#b34afb30]

攻撃値や防御値が高く、視程や視野が広い幻獣です。
ただし、移動速度・貫徹・装甲が全て1、射程も2と、なんともいえない能力なのがネックです。
基本的には頭の悪い幻獣として、直線的な動きをさせるだけでそれらしく見えるでしょう。
この幻獣を使う場合は、「十数部隊から逃げ遅れた市民を守る」といった防衛戦をさせるのがオススメです。
設定の「頭が悪く、仲間を殺すこともある」などを利用して動かすのも良いでしょう。

***スケルトン [#n9eeaefb]

移動速度が遅いものの、歩兵最強の幻獣です。
この幻獣を出す場合は事前にプレイヤーに情報を与えておくほうが良いでしょう。
装甲が高く、簡単に阻止線を張れないことを利用してプレイヤーにプレッシャーを与えましょう。
また、この幻獣を大量に出す場合は、プレイヤーの火力と貫徹を確認しましょう。
ギリギリ阻止線を張れるか張れないか、の数を出すと面白くなります。ただし、そこそこ育ったキャラでないと倒せないことも多いので、扱いには注意が必要です。

歩兵は以上です。
基本的な動かし方なので、これ以外の動かし方があっても良いでしょう。
プレイヤーの錬度が高い状態でも、敵を出す数を変えれば十分対応できるはずです。
本来のガンパレードの指針が「数の暴力で迫る幻獣を知恵と工夫で撃退する」なので、余り頭の良すぎる運用は避けましょう。幻獣は、少し馬鹿なくらいが面白くなります。
もちろん、ものすごく頭の良い幻獣の動かし方をしても構いません。プレイヤーの腕を信用している場合は真剣に殺すつもりで動かすのも、面白いでしょう。


**戦車クラスの敵の動かし方 [#y08e45c2]

戦車クラスとは、分類が「歩兵」ではないもの全てを指します。航空機・ヘリもこの分野です。
このあたりになると、基本的にはプレイヤーが歩兵の場合は1~3部隊(つまり、10匹まで)としましょう。
戦車クラスが多いということは、敵の戦力が上がるのとイコールで、敵の撤退条件(戦力の20%を失う)も上がります。
そのため、「敵の全てが戦車」といった編制だと、プレイヤーがどうしようもなくなって逃げるだけ。ということもありえます。
また、戦車の周りに歩兵が居ないと、「戦車は10m以下まで接近されると攻撃できない」というルールより、接近されると極めて弱くなります。
この当たりを踏まえて、戦車を出すときはできるだけ「数を減らしやすい歩兵」も出しましょう。

但し、セッションの目的によっては上記の限りではありません。
「航空機のみの戦いを演出する為に、敵味方全てが航空機」、「白兵を際立たせる為に、敵が戦車級のみ」ということもありえるでしょう。
全ては演出の問題なので、細かい部分はSDの好みで構いません。

以下には大まかな種類別の動かし方を書いていきます。


***分類が戦車で攻撃が「射撃(光学)」の幻獣 [#e42ae48c]

戦車クラスの幻獣の殆どがこうなっているはずです。
今回は「ナーガ」「キメラ」をベースに話を進めます。その他の幻獣にも応用できるでしょう。

攻撃が「射撃(光学)」になっている幻獣は、先ず間違いなく射程が長くなっています。
一番低いナーガでも500mはあり、戦場の広さによってはどこからでも撃てるようになってしまいます。
それを避ける為に、この系統の幻獣の配置はよく考えましょう。大体の場合が戦場マップの端に配置しておくべきでしょう。
そして気をつけないといけないのが、戦車クラスの敵の視程は500mであることを覚えておきましょう。
キメラは射程が1000mもありますが、視程に入っていない相手には攻撃できません。
この当たりを解決する為に、最低でもゴブリンか、プレイヤーが強ければケンキを出して視野を確保しましょう。
幻獣達は見ているものを共有できるので、ソコをうまく利用するのがコツです。

ただし、光学=レーザーなため、幻獣とプレイヤーを直線で結んだ上になにか障害物(山など)がある場合は攻撃できないとしたほうが良いでしょう。こういう状況を射線が通らないと言います。
煙幕にも極めて弱くなっています。発煙手榴弾一つで無力化されてしまうので、配置には気をつけましょう。
かと言って、余り有利な場所に配置してもプレイヤーが詰みます。この当たりの見極めは、数回やって慣れるしかないでしょう。
移動させる場合は、マップが狭い場合は慎重移動や普通移動でじわじわと追い詰めるように。マップが広い場合は急速移動でも良いでしょう。
全力移動するのは撤退の時だけ


***分類が戦車で攻撃が「白兵戦」の幻獣 [#u314a51d]

いわゆるミノタウロスのことです。アンフィスバエナも同じように扱って構いません。
速度・火力・装甲の全てが歩兵にとっては太刀打ちできない相手でしょう。
プレイヤーに戦車が無い場合は出さないほうが無難です。
歩兵相手のプレイヤーに出すなら、地形を上手く利用させて倒せるようにしてあげましょう。
道路の上を歩かせる、ビルの隣を通過させるなどするといいでしょう。

また、高い火力を利用して大量のゴブリン部隊を相手させることにも使えます。
ミノタウロスの火力は18000で、通常一部隊に3匹居るので合計54000。これが3部隊居れば162000になります。
此処にゴブリン1部隊(10匹)を10部隊つけると、合計火力が262000となります。
敵が撤退する為の条件がおよそゴブリン6部隊になるので、「3T後にミノタウロスが動くので、ソレまでにゴブリンをどれだけ抑えれるかが勝負だ」などといってプレイヤーを誘導させても良いでしょう。


***分類が戦車で攻撃が「射撃(ミサイル)」の幻獣 [#h2e5eb8f]

いわゆるゴルゴーンです。
この幻獣は戦闘に出すのはオススメしません。
というのも、圧倒的な射程に加え範囲攻撃のため、煙幕で接近なども出来ません。
ゴルゴーンは「マップの外から支援砲撃をする敵」として扱うのが良いでしょう。

どうしてもマップに出したい場合は、マップの広さを最低でも2500m四方(1マス500m四方で、5×5マス)にしないと射程のうまみが出ないでしょう。
そうして出す場合は、ケンキやゴブリンを先行させ、攻撃できない場所から一方的に攻撃するのが基本です。
ただし。こちらも配置次第ではプレイヤーが詰んでしまうので、使う場合は運用に大分なれてからにするのをオススメします。

***分類が戦闘機・ヘリの幻獣 [#f0193dea]

ワイバーンやスキュラのことです。
このあたりになると、基本的に相手が歩兵であることは先ず無いと思います。
相手が歩兵である場合は、かなりの確率でプレイヤーが詰むので出さないほうが無難です。
出す場合は、プレッシャーを与える為の役割で出すと良いでしょう。
歩兵相当の幻獣を大量に出し、20%撃破を達成できるように動かしてあげましょう。
これらも、慣れるまでは使わないほうが良いでしょう。


戦車相当の動かし方は以上となります。
強大な火力を持つ反面、運用が難しくなっているのが特徴で、安易にだすと一方的になりすぎます。
プレイヤーの腕を十分理解したうえで出すのが良いですが、初めての相手の場合はナーガやキメラで様子見するといいでしょう。

**マップにそった動かし方 [#v43ad53a]

敵を動かすときはマップの地形効果も上手く使ってやりましょう。

たとえば

×ABCDE
1道道道道道
2川川道川川
3平平道平平
4都都道都都
5都都道都都

のようなマップの場合、幻獣がA1から開始してC5に行こうとする場合、直線的ではなくA1→C1に移動してからC5まで移動するでしょう。

このように、地図の通りに動かして上げるとプレイヤーが対策を立てやすくなります。
そして、飛行する幻獣はその逆を突くためにA1→C5へ直進、としても良いでしょう。
地図を作るときに幻獣の動かし方と、プレイヤーの動き方を考えて編制・行動指針をたてると敵の動きにリアリティがでるようになるでしょう。


以上が、SDをする際の敵の動かし方の例です。
あくまで例ですので、そのときのプレイヤーの力量(初心者か上級者か)、部隊の規模(何人でゲームをするか)などによって変化します。
大抵は敵の数を増やすことで対応できると思いますが、困ったときは自分の判断で動かしましょう。
失敗を恐れずにプレイを重ね、何度も経験すれば、プレイヤーの動きを覚えて自然と幻獣の動かし方も身につくはずです。

では、楽しいSDライフを送ってください。応援しております。

<文責:玄霧>