*マニアック戦闘を動かす際に必要なハジキ算について [#p9082eaf]

マニアック戦闘ルールにおいては、つねに

ハ:速さ
ジ:時間
キ:距離

を考えながら行動することになります。これらには

速さ=距離÷時間
時間=距離÷速さ
距離=速さ×時間

の関係があり、どれか2つの数字がわかればもう1つの数字を求めることができます。
ここでは、例をつかってそれぞれの出し方をおさらいしてみましょう。


**重要なこと [#ge29ce79]

1.頭の中で考えないこと

 人間、頭の中で全て考えようとすると混乱します。紙に書いて考えましょう。

2.複雑に見える問題は分解して考えること

 複雑な問題は簡単な問題を組み合わせてできています。

3.小刻みに計算する

一度に複数の行動を処理しようと思ってもうまくはいきません。短時間ずつ区切って計算しましょう。


**例1 [#s17f89b2]

さて、まず500m先にゴブリン3部隊がいるとしましょう。これらは速度3で接近し、10秒間で射程2の白兵攻撃をかけてきます。
対して味方は97式突撃銃(射程300m)が4人。阻止線数は足りているものとして考えないことにします。

左図:横に線を1本引き、これを500mの長さとします。
右図:縦に線を1本引き、これを180秒(1ターン)の長さとします。

#ref(a_007.png)#ref(a_003.png)
#ref(a_007.png)
#ref(a_003.png)

ここで、味方が30秒間速度1で後退し、彼我距離300mで射撃を開始。阻止線をはる…と考えてみます。

まず、味方が移動する、と宣言されている30秒で区切ります。


距離=速さ×時間

の式を思い出してください。後退速度は1、時間は30秒です。

1×30=30m

30m後退できたことになります。

では、この間に敵ゴブリンはどれほど動くでしょうか。ゴブリンの移動速度は3、時間は同じく30秒です。

3×30=90m

90m前進してきました。彼我の距離は、今や(500+30-90=)440mとなります。

#ref(a_005.png)#ref(a.png)
#ref(a_005.png)
#ref(a.png)

ここで、移動速度がかわります。味方は足をとめますが、敵はそのまま移動してきます。敵が味方の射程(300m)に入るまでどれくらいの時間がかかるでしょうか?

敵ゴブリンが移動してくる距離は
440-300=140m
です。速さは3なので

時間=距離÷速さ

の関係から、
140÷3=46.66… 47秒かかります。

ここまで30+47=77秒。残りは103秒、現在の距離は300mです。ここから阻止線がかかり、ゴブリンの移動速度は1/6になります。

#ref(a_008.png)#ref(a_006.png)
#ref(a_008.png)
#ref(a_006.png)

残りの時間、ゴブリンはずっと移動してくると考えてみましょう。速さは3/6=0.5です。
移動距離はどれくらいになるでしょうか?

距離=速さ×時間
より
0.5×103=51.5m。四捨五入して52m。わずか52mしか動けず、彼我の距離は300-52=248mになります。

#ref(a_002.png)#ref(a_004.png)
#ref(a_002.png)
#ref(a_004.png)

このまま阻止線をかけ続けたとして、味方がゴブリンの射程(2m)に入るまでにはどれくらい時間がかかるでしょう?
ゴブリンが移動すべき距離は248-2=246m。速度は0.5なので、
246÷0.5=492秒。2ターンと132秒かかることになります。




さて、味方の後退速度は、最初にきめた通り1です。ゴブリンに阻止線をかけると速度は0.5。これはすなわち、速度0.5で後退しながら阻止線をかけ続ければ、距離を保ったまま攻撃し続けられるということです。
300mまで近づいたところで後退を始めれば、300mを保って撃てるわけですね。


ここで、弾が切れたので弾倉交換をしてみましょう。
弾倉交換には40秒かかります。
味方は足をはやめ、速度1で後退。阻止線のかかっていないゴブリンたちは速度3で接近してきます。
距離=速さ×時間
より
(ゴブリンの速度-味方の後退速度)×40秒
=(3-1)×40
=80m

弾倉を交換している間に、ゴブリンは80m迫ってくることでしょう。しかし220mの距離で弾倉交換が終わり、また射撃が再開できます。


移動速度の差は
(味方の後退速度-ゴブリンの速度)
=1-0.5
=0.5

ゴブリンが最大射程から80m接近してきているので、
時間=距離÷速さ
の関係から、

80÷0.5=160

160秒間速度1で後退すれば、もとの300mまで彼我の距離を戻すことができます。



**例2 [#c3f98fa8]

 M*10ターン以内に2km先のビルに到着せよ:1ターンは3分(180秒)
プレイヤーキャラ(PC)の速さは×1、普通荷(普通移動で1秒に1m進める)とします。

PCがビルにたどり着けるかどうか、まずは単純に考えてみましょう。

距離=2km=2000m
時間=10ターン=30分=1800秒

です。

距離÷時間=2000÷1800=1.11…

同じ速度で移動するとして、1.11の速さがあれば間に合うことになります。
PCの普通移動速度は1。急速移動(速さ2倍)だと速度2になり、十分に間に合います。


さて、次に途中で2ターンは足を止めて戦わなければいけない、ということにしてみましょう。ゴブリンの群にでも出会ったと考えてください。移動に使えるのは残り8ターン分です。

距離=2km=2000m
時間=8ターン=24分=1440秒

距離÷時間=2000÷1440=1.39

まだ間に合いますね。では、もしも5ターンかかったとしたら?


距離=2km=2000m
時間=5ターン=15分=900秒

距離÷時間=2000÷900=2.22…

おっと、急速移動では間に合わないようです。全力移動(普通移動の3倍)で速度3で走らなければならないでしょう。


最後に、8ターンかかったとしたら? わずか2ターンしか移動には使えません。

距離=2km=2000m
時間=2ターン=6分=360秒

距離÷時間=2000÷360=5.55…

こうなったら最後の手段です。荷物を捨てて軽荷(速度×2)になった上で全力移動(速度×3)しましょう。

**まとめ [#c3ac9858]

ここまでの例はあくまで最も簡単な例でしたが、実戦でもやることはたいしてかわりません。敵味方の種類が増えたり、ターンが増えたりするだけです。

1.頭の中で考えないこと
2.複雑に見える問題は分解して考えること
3.小刻みに計算する

これらの基本原則を守れば、マニアック戦闘であっても楽々プレイすることができるでしょう。

<文責:GENZ>