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[No.912] 固定リンク 時をかける少女 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/27(Mon) 18:55:53
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風が吹いている。その日、世界は風にそよいでいた。

色々な話を聞くうち、私はこう尋ねた。
「元居た場所・・・、日本の女子高なんだけど、行けないの?」
『多分、第5世界だと思うのですが、今は貴方の知る世界と違うでしょうね』
「なんで?普通の学校だよ?『セムテンとリオン』の目的って?」

眼鏡の男は、どうやって説明するか考えた後、言った。
『特異点、とでも言うのか・・・そこで起こった出来事が、他の世界に大きな影響を与えるんです』

なんとなく状況を理解した。つまり『とくい点』で、悪者を倒せば良い。
「で、どうやってそこへ行くの?」と聞いた時の困惑した表情が、少し可愛いと思った。

私は、ふと部屋の隅っこで、黙ってる男に興味を持った。
誰かに似ている・・・。そっと近寄り、匂いを嗅いでみる。狼少女だった頃の名残だ。
「あなたって、知恵者?同じ匂いがするもん。何か知らない?」
「そう呼ばれた事もある。だが・・・今、この場所から他の世界に行く事は出来ん」

私は、「ふーん・・・じゃあさ、この場所ごと動かしたら?」と思いつくまま言ってみる。
二人は、顔を突き合わせて沈黙する・・・。あちゃあ、私、何か変な事言ったかも?

『それだ!ここには今までの全世界の情報と、ゲートからの莫大なエネルギーがある。
 時空間を超えて世界に介入すれば、元の世界に戻せる!』
「三人寄れば文殊の知恵か。よし、仕事だ」

あれあれ・・・?なんか良い感じかも。2人を見ながら、男同士ってのも悪くないよねと思った。

そして「知恵者」は解決策を提示した。
「この場所を宇宙船に変える。圧縮されたゲートを推進力とし、時空間を移動する」
「でもどうやって? 何にも無いよ、ここ」

「知恵者」は言った。
「第2世界の力を使う。この場所は船だと謡えば、それは現実となる」
「歌・・・だけで?」信じられない。

「知恵者」は、清らかに高らかに歌い始めた。聞く者全ての心に届く、美しい歌。
それは、耳の聞こえない人間にも、言葉が分からない人間にも等しく意味が分かる歌だった。

   我等は海賊、荒くれ者よ、七つの世界を駆け巡る
   空と海との狭間に浮かび、風を受けて青き船は進む
   乱れた世の中変えるのは、決して挫けぬ鋼の心
   我と我等は手を取り合って、果て無き時を飛び回る
   求めるものは奪い取り、希望の光を灯し出す
   此処は闇を切り裂き、朝を告げる夜明けの船

やがて部屋全体が光り始め、計器類やモニターを生み出していく。
窓の外では、装甲板や推進装置が生み出され、震えるように巨大な姿を現す。
部屋は、宇宙船の艦橋へと姿を変えていた。

「すごい・・・魔法みたい」と、私は呟いた。
『大分旧式のようですが、頑丈そうですね。操作はどうやって?』
「知恵者」は言った。「心配ない。OVERSから時空間自動航行システムを作れる」

「・・・じゃあ、私、戻れるんだね。もう、見てるだけじゃないんだね」
私は、感極まって泣き出した。今まで辛かった事、苦しかった事を思い出して。

眼鏡の男が慰めようと、私の頭をなで始める。子ども扱いされた恥ずかしさと、
良く分からない何かで胸が一杯になった。
ボディーに一発食らわせてから、真っ赤になった顔を手で隠した。
眼鏡の男は、青い顔をしながら、突っ伏す様に艦橋で倒れた。


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