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[No.911] 固定リンク 復活の日 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/25(Sat) 23:26:31
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彼は、一人で丘陵に立っていた。

突然、誰かに呼び出されたらしい。
彼には、名前も無く、持ち物は函一つ。

やがて体の奥から湧き上がる不滅の灯明が、因果の糸に
絡められた彼の心を振るわせる。それは強く、大きな怒りだった。

彼は、抗い、拒否し尽くした。
それは、それは龍の咆哮のような荒ぶる炎と化して、全てを拒絶した。
心の中の熱き思いを抑える事が出来ない。ただ、吼える。

ふと、ある記憶が蘇る。愛する娘達は大丈夫だろうか?
何も知らず、無力で、無垢な、小さな魂達。

それで怒りは静まり、彼は正気を取り戻した。
魂に染み付いた習性は、全ての終焉と平安を望んだ。
記憶を呼び起こし、たどり着いた結論は「函を開ける」事だった。

彼は、恭しく小箱を頭上に捧げ、函から溢れる青い光が、風に吹かれて漂い舞う。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

『やあ、ご苦労様で・・・』
「我らに挨拶は無い。チューリングテストの方は?」
彼は無表情のまま、もう一人の男に尋ねた。

『ゲートは完全に停止中。また、奴らは既に『人でなし』の集団です』
「アイドレス、いや欲望と保身を望む『セプテントリオン』共め・・・」

突然二人の目の前に何かが落ちた。小柄な女だが、顔は良く見えない。
「あたた、乱暴なんだから、もう・・・」

セーラー服に身を包んだ少女は、開口一番こう言った。
「ええと、チャオ。・・・っていうか誰?ドコ?」
『我々は宇宙人みたいなものですよ、お嬢さん』
「『最後の女』よ。我と我等は貴殿を歓迎する」

それを聞いた彼女は、があっと返す刀で怒鳴る。
「まったく男ってのは、女の子を玩具か、駒の一つか何かと考えてんじゃないの?
『実験体』『女スパイ』『魔道兵器』・・・。大仰な呼び方しておいて、役立たず扱い。もうウンザリよ!」

ずり落ちた眼鏡を持ち上げながら、少女をなだめようとする自称宇宙人。
『誤解です、違うんです。貴方に危害を加えるつもりはありません。
むしろ、こっちが壊されそうだ・・・。落ち着いて、ね?』

彼女の怒りは収まらない。
「女の子ってはね、半分が『わがまま』、3割が『甘いお菓子』、残りの2割が『好きな子の事』で
 出来てるのっ!丁重に扱いなさい、分かった?」
「いい話だ、参考にする。我等は貴殿に強制をせぬ、というのは?」

「・・・まあいいわ。仲直りの握手でもする?」
「結構だ、我等に挨拶は無い。汝の名を聞いて和解と言うのは?」

少女は、複雑な顔をしながら、うんうん唸っている。
「ええと、色んな名前があるから・・・ゴメンまた後で」

『そうですか・・・。良く分かりませんが、よろしくお願いします』
女一人と謎の男二人の珍道中の始まりである。


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