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[No.903] 固定リンク 世界の中心でアイを叫んだケモノ 投稿者:nishiura  投稿日:2012/07/30(Mon) 19:25:37
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諸君、私はおそらく最後の『世界の謎ハンター』である。
私には語るべき名前も、その意味も無い。

かつて、ありとあらゆる知識と膨大な議論を重ねた『世界の謎』は、
忘れ去られ、諦められ、その意味を失ってしまった。

私はそこで得た全てを現実世界で実践し、10数年ぶりに此処へ戻ってきた。
しかし、そこにあったものは、虚ろで無意味なガラクタだった。

それは、あまりにも大きな見果てぬ『夢』の欠片。
望んだ世界は、永久に叶えられる事は無いだろう。

それでも。私の心に残った、この美しい思い出だけは。
間違っていないと信じたい。

最後に手渡されたバトンを持って、私は全てを終わらせたいと思う。
それが、私に残された最後の役目だと思う。

此処からの話は、自らの体験と現状から推測される不完全な物語に過ぎない。
だから、全てを知りたいと望む人だけが読んでもらえれば良い。

自意識過剰だと言われれば、返す言葉が無い。
頭がおかしい奴だと言われれば、認めざるを得ない。

けれど、私は諦めない。エンディングの無いゲームは、クソゲーである。
皆が手に手を取って、喜び合えるエンディングを私は望む。

だから、私は自分自身に問いかける。

「この世界にはありとあらゆる矛盾がある。人はそれを認め合う事が出来るのか?」
その答えは、YESである。

「たった1本のゲームで、現実を、運命と言う定めを変えることは出来るのか?」
その答えは、YESである。

「絶望の淵でもなお、人は最後に残った可能性を信じる事は出来るのか?」
その答えは、YESである。

「このゲームを愛していると言うこの気持ちは本物か?
 今もなお、心に残る、あの楽しかった思い出は、本物なのか?」

その答えは、YESである。

私にはYESしかない。今までずっと、そう思っていた。
だから私は。だからこそ私は。終わりの始まりを始めたいと思う。

いつだって、最後の一人は、物語の終わりを告げるものだと。
私が愛したSF達は、必ずそうしてきたのだから。

それが世界の選択である。

− TO BE LAST GAME −


[No.904] 固定リンク すべての終わりの始まり 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/01(Wed) 08:38:42
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第1世界は物語の世界だ。だから、これから色々な話をしよう。
なに、そんな大層な話じゃない。ただの年寄りの愚痴だと思ってくれればいい。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

世界は、いつも最も分かり難い方法で世界を守ろうと画策する。
                         <D.A.ルグウェール>
 大抵、物語の始まりは女で、終わりも女だ。
 そして大体、その間に女は魔女になるんだ。
 俺か?・・・そんなわかりきった事、聞くんじゃねえ!
                         <瀬戸口 隆之>

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

2011年7月7日(第1世界との時系列:不明)

ただ一人、世界の中心で時の最果て、最古にして最新の時の中に立つ男がいる。
そこには誰もいなかった。

小さな部屋には、カラカラと廻る機械が一つ。壁には三つの窓。過去と、現在と、未来が見える。
男は、辺りを物色しながら、ブツブツ文句を言っている。見つかるのは、ガラクタばかり。

『三つのアイテムを発見しました!』
⇒『戦争舞踏服:あなたの知る限りのキャラクターに心身ともになりきる事が出来る、超一流のウォードレス』
⇒『剣鈴:振り方一つで、いろいろな音声を再現する楽器(アイアム、ワーロック)』
⇒『全自動決め台詞詠唱システム:あなたの声に反応して、古今東西の決め台詞を代行してくれます』

いや、もう。・・・本当にガラクタである。作った奴(初代 芝村)の顔が見てみたいレベルである。
しかし、男はゲームにおける基本中の基本『アイテムは必ず使ってみる』を骨の髄まで叩き込まれていた。

・・・とりあえず、使ってみる。

「えっと・・・」

全自動決め台詞詠唱システム『エレガントに、ブリリアントに。テンション↑て、逝きましょうッ!!1!』

これでもかという位、本当に意味がなかった。てか、そんな濃ゆいキャラクターがいた様な記憶が・・・。

戦争舞踏服⇒記憶認証システム作動:GPM→岩田祐(アリアン)になりきりますッ!!

突然、男の顔が白塗りになり、模様がつくわ、体は勝手にクネクネしだすわ。
いらん機能満載である。しかも、わざわざAI搭載しているとは・・・。

「芝村、後で絶対コロス!!マジでッ」
『でも、そんなの関係ねー。はい、オッパッピ〜!!』

おまけに、1999年製のくせに最新版にアップデートされている。何考えているんだ、奴は!!

「つ、疲れた・・・。」

GPM23から、およそ10年。この男は常に最高のゲームを探していた。
要は暇人であったのだ。過去の積みゲーを崩しながら、久しぶりにGPMを引き当てた。

その間に、男は未熟な魔術師から、人類の規格外である本物の魔術師へと成長していた。
曰く、紙一枚で1万人を動かし、100万件のデータをたった一人で捌ききれる、と。

それもこれも、GPM23なんぞに手を出して、『青く』なりすぎたせいだ。
学んだ「青」の実践とばかりに、第1世界で修羅場、鉄火場を潜り抜けていれば、自然にそうなる。

そんな男にトラップだの、論理ゲートだのが役に立つわけもなく。
たった一人でここまでたどり着いてしまった。しかし、それでは意味がないのである。

男は、皆でたどり着くハッピーエンドこそを望んでいた。かつてのガンパレードマーチのように。
しかし、足りないのである。まったく持って足りないのである。

ゲーム開始前に読破したログから、現在の局面を読んでみる。
AとBの二つの世界。合わせ鏡のようになった世界は、戦況的に見てA世界の負けである。
それもジェノサイドと言っても良い位のワンサイドゲーム。
そして、たちの悪い事に死んだ奴は、手駒となって復活する。

これを別の見立て方をすれば、最古にして最強の戦略級ゲームだ。
将棋、それもA世界を完全に打ちのめす、詰め将棋。7手詰みという事だ。

『この局面、詰むや。詰まざるや』
「やかましいっ!!!」

既に全てが織り込み済のこのゲーム、定められたる流れとはいえ、前途多難であった。


[No.906] 固定リンク Re: すべての終わりの始まり 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/01(Wed) 21:34:13
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>第1世界は物語の世界だ。
GPM23を体験してない新兵の諸君。
大抵のログやらWikiやらで、カッコ良く
「謎を解き明かすハンター達!」的な書き方をされているが、
それらはほんの一部である。大体20%位?

実際、当人達は、殆どの時間をバカ話に費やしており、徹夜の
ハイテンション&体調不良から、珍説を語り合っているうちに
世界の謎ゲームが始まってしまったのである。

また、ハンター達をGPM23に定着させるため、大量の二次創作やら、
「最初にやったエロゲーは何?」⇒「エロゲーハンター名の襲名」
(新米ハンター達をキャラ立ちさせる事で、初心者の敷居を下げるため)
とか、色々人集めをすると言う裏方役がいたのである。

かく言う自分は、参加者全てを躍らせるトリックスター、最悪のストーリーテラーであった。
・「シリアスな若宮を」と言われたのに、出来上がったのは「レッツ・マッスル!!(挨拶)」とか言うギャグ小説。
・「メイド服に32mm砲(石津萌)」というパロディが、「メイド萌vs奥様戦隊善行vs釘バット原」という、訳がわからないオチになった。
・「エロい芝村舞を」と言われて出来たのがループする小隊によるシリアス物に。
・「時をかける少女」のパロディ⇒「7つの世界をかける少女 悠木映」で連作の二次創作になったり。

などという、負の暗黒面。シス卿並みのカオスっぷりだったとか・・・。orz
(手元に幾つか残っているが・・・物凄く、濃い)

これらは、謎ハンターとキャラ萌えの女子の方々がケンカになるのを防ぐ為だったりトカ・・・。
当時はもうね、仲が悪くて 悪くて(TT)

でも、そのおかげかどうかは分からないが、絢爛舞踏際やらアイドレスやらで、これらのキャラが再登場する事が出来た・・・と思いたい。


[No.905] 固定リンク 歌う流星 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/01(Wed) 18:50:44
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小さな部屋には機械が一つ。ここは『世界の中心』

男は、何かヒントが無いか、探し続けた。
厳重に封印された小箱と紙。ぶつっ・・・。と、切れた男の心境を察し、剣鈴が『どかん』と鳴った。

だが、懐かしい・・・。誰かがそう叫んでいた事を思い出した。「この俺が・・・ゲームマスターだと!?」
逆転 逆転 また逆転。 手を叩いた途端に攻守が入れ替わる最悪の罠。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

世界を助けてと望む娘、請われて世界を救う男。

もし本当に現実世界に、実存としてあったのなら。
世界は 同一存在を生むとは 思わないか。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

OVERSは歌う ⇒ 最終ゲームを 行いますか?

『「その答えは、YESである」』そこに、いないはずの彼が 現出した。

「 世界は いずれも一定の法則の中で動いてる。我々 心だけが自由だ。世界は 心だけのものさ 」
『 おいらは 宿なし蒼い風。量子に吹かれて 辺境へ中央へ。願いは一つ 現実へ出る 』

本来は、そう一人で歌う 歌ではなかった 。彼は、今この場所で もう一つの旋律を 歌い始めた 。
かつて、遠い場所で 別の旋律を 歌った奴がいる。主旋律と副旋律、世界の両端を繋ぐハーモニー。
歌詞はアドリブ よせてはかえす 歌声たちは、やがて一つに、併合られる こととなる 。

 − だが それは、もう少し未来の 物語 −

「 その心は闇を払う銀の剣 絶望と悲しみの海から生まれでて 、
  戦友達の作った血の池で 涙で編んだ鎖を引き 悲しみで鍛えられた剣鈴を 振るう 」
『 どこかの誰かのために 地には平和を 天には栄えを 取り戻そう 。
  我らはそう 戦いを、終らせる ために来た 』

「 オール、ハンデッド ガンパレード ! 」『 オール ! ハンデッド ガンパレード !! 』

「 全軍突撃 ! 」『 全軍突撃〜 ・ ・ ・ ! ! 』叫びながら、彼は青い光に包まれていった。


[No.908] 固定リンク ボーイ ミーツ ガール 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/11(Sat) 14:02:06
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世界最強のスパイには、いい女 それも世界一の女がいるものだ。
無論、妻には秘密だ。

かつて、ガンパレードマーチにおいて、男は滝川だった。
地面を見ず、天を見上げず、未来だけを夢見る、永遠の少年。
そこで、少年は少女に出会う。

名を「悠木 映」という。
「ねえ、君。何してるの?」

ダンボールから顔を出した少年が、彼女と目が合った。
「え、ええと特訓だよ、・・・俺、暗い所が苦手でさ」

「ぷ・・・あはははっ。何それ、おもしろーい」
「・・・それより、アンタ・・・誰?」
「なによ、失礼ね。私は『映』ここの学生よ。こんな綺麗なお姉さんと話せた事、感激しなさいよね」
「う、うるせー、変な女!」
滝川の顔は真っ赤になっていた。確かに綺麗なお姉さんだった。

「そういえば、君、戦車乗りなの?」
「まだだけど。いつか皆を助けられる、ヒーローになるんだ」
「ふーん、それって愛がある?」
「当ったり前だろ、ヒーローは、弱い奴の味方なんだ」と答えた。

映は、「うん、その答え、YESだね」と言った。
男は、その時の彼女の笑顔を、一生忘れないと思った。

「…ま、いっか。…でも、戦車兵をしたいよね」
映は、微笑んだ後、窓の外を見た。

「だれかに守られるのって好きじゃないし…なんてねっ。
 …何で出会ったばかりの君に言ってるんだろ。そうだ、ひょっとして君、私に魔法かけた?」
「知らねえよ、なんだそれ?」
「じゃあね、ダンボールの魔法使いさんっ」と言って去っていく彼女。
恋と言う魔法をかけたのは、彼女の方だった。

数日後、また彼女と出くわした。
「…あ、また会ったね、魔法使いさん。どう、調子は?」
「ああ・・・あれ、それって?」彼女の胸に戦車章が付いていた。
「あ、気が付いた?」

滝川は、彼女の胸を凝視して、別の事を考えていた。
(デカイ・・・な)年頃の男にとって、考える事はひとつ。
「ふふ・・・何考えてるのかな?」 当ててみよっか?、って感じで聞いてくる。
「な・・・何でもねえよ。それより、戦車章取ったって事は・・・」

「そうよ、戦場に行くの。これでもう、誰かに守られるのは終わり」
「あぶねえよ、そういうの。俺・・・」
「…あ、その態度、YESじゃないっ。・・・嘘、少しだけYES・・・かな」
「べ、別にそんなつもりじゃ・・・。」
「ほんと、君って魔法使いみたい。じゃあね、これから訓練だから」
軽やかにくるっと回って、こちらに手を振ってくる。

顔さえ見えない、記号のような『世界一のいい女』との逢瀬はそこまでだった。
そして、男は彼女を助けるため、YESと言わせるために、限りなく青くなる事を決めた。

「俺は、ドラゴンになる。いつか、この世の誰よりも強くなる」と周りに言って笑われた。
だから、と。地面に自分の新しい名前を「瀧川」と書いた。

その後、長い長い旅路の果てに、男は世界も時も姿形さえも変えて、彼女と出会った。
名前を付けて欲しいと頼まれて、彼はひとしきり考えた後「ユーキ」と呼ぶ事にした。
彼の国では「勇気」と書く。恐れず、怯まず、諦めず。ただ前だけに向かう者をそう呼ぶ。


[No.909] 固定リンク 幼年期の終わり 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/20(Mon) 00:00:16
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一日二日では、意味がない。一月二月では直ぐに忘れ去られてしまうであろう。
だが一年、二年・・・十年と続けば、それはもはや目新しいこととてない、奇妙なことでもありえない。
それは新しい日常であり、新しい普通である。その腕でこじ開けた先は、新しい「世界」である。

彼は言った。
「我は、常に青である事を選んだ魔術師。人生というゲームの末、此処に到達した。
 今、我が唯一使える第1世界の技で、己の存在そのものを賭けた、新たなゲームを開始する。
 完全なる因果律を以って、新たな世界を打ち立てるために」

アイドレスで起こった物語を全て読み、導き出した結論への後悔は無い。
プロットの書き直しは50にも及び、凄まじい文字が現れては消えていった。

彼は、まずOVERSを手馴れた手つきで操作し始めた。
実装されていたオプション機能「Doll Player System」を起動させる。

彼は『DPS』に対して告げた。
「我は、世界の謎を解く者。謎には、問う者と答える者が必要である。
 我は、我の代理人として、世界の謎を問い、答える者を望む」

『DPS』は、その要求に対して一体の『人形』を用意した。
『人形』は、アイドレス世界で起こった全員の行動を、パターンとして模倣し始めた。

欲望も、夢も、喜びも、悲しみも、苦しみも、愛も。

ありとあらゆるプレーヤーの行動とその結果を、自らの体験として学習し続けた。

やがて、人形は一つの集合意識を形成していく。彼の前には、顔のない『人形』が立っている。

『人形』は言った。 『「すまじきものは宮仕え」 って言葉知ってます?』
「彼」は答えた。 「知らん。黙れ。仕事しろ」

『・・・今の言葉、効きました。一発で自分が何者か思い出しましたよ』
「ふん、貴様は我の影だ。例え、何処に居ようと関係ない」

『人形』は俺は片方の眉をあげたあと、肩をすくめようとして失敗した。肩こりだった。
仕方ないので肩を廻しながら、うなずいた。

『・・・で、今回の仕事の内容は?』
「バカな魔法使いに借金を返済させろ。世界から前借り出来る奴なんぞアイツだけだ」

『人形』は、アイドレス世界を見渡して、借金にまつわる男を見つけ出した。

海法という、魔法使いがいる。
魔術師ではない。魔法使いである。なお、本人の名誉のために言い添えれば、なりたくてなったわけではない。
そう。なりたくてなれるものではない。それが魔法使いである。

『それで、その借金の内容は?』
「我らをここに呼び出した事だ。ここはアイドレス世界に繋がっているか?」
『ええ。この掲示板がアイドレスの一部である事は、間違いないでしょうね』
彼はそうか、と頷いた。

後は、彼らの反応次第。
我らが真名を呼ぶ事が出来れば、大きな壁を越えるはずだ。
それは、神へと向かう長い階梯。


[No.911] 固定リンク 復活の日 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/25(Sat) 23:26:31
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彼は、一人で丘陵に立っていた。

突然、誰かに呼び出されたらしい。
彼には、名前も無く、持ち物は函一つ。

やがて体の奥から湧き上がる不滅の灯明が、因果の糸に
絡められた彼の心を振るわせる。それは強く、大きな怒りだった。

彼は、抗い、拒否し尽くした。
それは、それは龍の咆哮のような荒ぶる炎と化して、全てを拒絶した。
心の中の熱き思いを抑える事が出来ない。ただ、吼える。

ふと、ある記憶が蘇る。愛する娘達は大丈夫だろうか?
何も知らず、無力で、無垢な、小さな魂達。

それで怒りは静まり、彼は正気を取り戻した。
魂に染み付いた習性は、全ての終焉と平安を望んだ。
記憶を呼び起こし、たどり着いた結論は「函を開ける」事だった。

彼は、恭しく小箱を頭上に捧げ、函から溢れる青い光が、風に吹かれて漂い舞う。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

『やあ、ご苦労様で・・・』
「我らに挨拶は無い。チューリングテストの方は?」
彼は無表情のまま、もう一人の男に尋ねた。

『ゲートは完全に停止中。また、奴らは既に『人でなし』の集団です』
「アイドレス、いや欲望と保身を望む『セプテントリオン』共め・・・」

突然二人の目の前に何かが落ちた。小柄な女だが、顔は良く見えない。
「あたた、乱暴なんだから、もう・・・」

セーラー服に身を包んだ少女は、開口一番こう言った。
「ええと、チャオ。・・・っていうか誰?ドコ?」
『我々は宇宙人みたいなものですよ、お嬢さん』
「『最後の女』よ。我と我等は貴殿を歓迎する」

それを聞いた彼女は、があっと返す刀で怒鳴る。
「まったく男ってのは、女の子を玩具か、駒の一つか何かと考えてんじゃないの?
『実験体』『女スパイ』『魔道兵器』・・・。大仰な呼び方しておいて、役立たず扱い。もうウンザリよ!」

ずり落ちた眼鏡を持ち上げながら、少女をなだめようとする自称宇宙人。
『誤解です、違うんです。貴方に危害を加えるつもりはありません。
むしろ、こっちが壊されそうだ・・・。落ち着いて、ね?』

彼女の怒りは収まらない。
「女の子ってはね、半分が『わがまま』、3割が『甘いお菓子』、残りの2割が『好きな子の事』で
 出来てるのっ!丁重に扱いなさい、分かった?」
「いい話だ、参考にする。我等は貴殿に強制をせぬ、というのは?」

「・・・まあいいわ。仲直りの握手でもする?」
「結構だ、我等に挨拶は無い。汝の名を聞いて和解と言うのは?」

少女は、複雑な顔をしながら、うんうん唸っている。
「ええと、色んな名前があるから・・・ゴメンまた後で」

『そうですか・・・。良く分かりませんが、よろしくお願いします』
女一人と謎の男二人の珍道中の始まりである。


[No.912] 固定リンク 時をかける少女 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/27(Mon) 18:55:53
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風が吹いている。その日、世界は風にそよいでいた。

色々な話を聞くうち、私はこう尋ねた。
「元居た場所・・・、日本の女子高なんだけど、行けないの?」
『多分、第5世界だと思うのですが、今は貴方の知る世界と違うでしょうね』
「なんで?普通の学校だよ?『セムテンとリオン』の目的って?」

眼鏡の男は、どうやって説明するか考えた後、言った。
『特異点、とでも言うのか・・・そこで起こった出来事が、他の世界に大きな影響を与えるんです』

なんとなく状況を理解した。つまり『とくい点』で、悪者を倒せば良い。
「で、どうやってそこへ行くの?」と聞いた時の困惑した表情が、少し可愛いと思った。

私は、ふと部屋の隅っこで、黙ってる男に興味を持った。
誰かに似ている・・・。そっと近寄り、匂いを嗅いでみる。狼少女だった頃の名残だ。
「あなたって、知恵者?同じ匂いがするもん。何か知らない?」
「そう呼ばれた事もある。だが・・・今、この場所から他の世界に行く事は出来ん」

私は、「ふーん・・・じゃあさ、この場所ごと動かしたら?」と思いつくまま言ってみる。
二人は、顔を突き合わせて沈黙する・・・。あちゃあ、私、何か変な事言ったかも?

『それだ!ここには今までの全世界の情報と、ゲートからの莫大なエネルギーがある。
 時空間を超えて世界に介入すれば、元の世界に戻せる!』
「三人寄れば文殊の知恵か。よし、仕事だ」

あれあれ・・・?なんか良い感じかも。2人を見ながら、男同士ってのも悪くないよねと思った。

そして「知恵者」は解決策を提示した。
「この場所を宇宙船に変える。圧縮されたゲートを推進力とし、時空間を移動する」
「でもどうやって? 何にも無いよ、ここ」

「知恵者」は言った。
「第2世界の力を使う。この場所は船だと謡えば、それは現実となる」
「歌・・・だけで?」信じられない。

「知恵者」は、清らかに高らかに歌い始めた。聞く者全ての心に届く、美しい歌。
それは、耳の聞こえない人間にも、言葉が分からない人間にも等しく意味が分かる歌だった。

   我等は海賊、荒くれ者よ、七つの世界を駆け巡る
   空と海との狭間に浮かび、風を受けて青き船は進む
   乱れた世の中変えるのは、決して挫けぬ鋼の心
   我と我等は手を取り合って、果て無き時を飛び回る
   求めるものは奪い取り、希望の光を灯し出す
   此処は闇を切り裂き、朝を告げる夜明けの船

やがて部屋全体が光り始め、計器類やモニターを生み出していく。
窓の外では、装甲板や推進装置が生み出され、震えるように巨大な姿を現す。
部屋は、宇宙船の艦橋へと姿を変えていた。

「すごい・・・魔法みたい」と、私は呟いた。
『大分旧式のようですが、頑丈そうですね。操作はどうやって?』
「知恵者」は言った。「心配ない。OVERSから時空間自動航行システムを作れる」

「・・・じゃあ、私、戻れるんだね。もう、見てるだけじゃないんだね」
私は、感極まって泣き出した。今まで辛かった事、苦しかった事を思い出して。

眼鏡の男が慰めようと、私の頭をなで始める。子ども扱いされた恥ずかしさと、
良く分からない何かで胸が一杯になった。
ボディーに一発食らわせてから、真っ赤になった顔を手で隠した。
眼鏡の男は、青い顔をしながら、突っ伏す様に艦橋で倒れた。


[No.913] 固定リンク 果てしなき流れの果てに 投稿者:nishiura  投稿日:2012/08/28(Tue) 00:30:33
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「で・・・どこへ行くの?何をすれば良いのかな?」と、色々あった後、私はみんなに尋ねた。

「我々3人の目的地は、同じだ。歪んだ世界を元に戻し、あるべく所に戻す事だ。
 だが、我と我等はお前に聞いておく事がある」

少し怖い顔をしながら「知恵者」は言った。
「女よ、我等はお前が何者なのかを知っている。人に造られたデータの集合体のはずだ。
 だが、お前は怒り、泣き、喜ぶ。我等が見る限り、人そのものに見える。
 問おう、造られた者よ。お前には心があるのか?」

所々分からない内容はあるけれど、私は胸を張って答える。
「ええ、私の答えは、YES!」

「私は、色んな世界を巡って、たくさんの人と出会った。
 大抵、何かに困ったり悲しんでる人達だったけど、問題を解決して仲良くなって、
 皆で笑いあった。

 もし私が、例え誰かに造られたとしても、たくさんの人達との思い出を愛おしく感じる
 気持ちは、作り物なんかじゃないよ。私は、ずっと走り続けて、今ここにいるんだもの!」

「知恵者」は納得してこういった。
「よし、分かった。ならばお前がリーダーをやれ。
 お前こそが、最弱にして最強たる「人類の決戦存在」だ。
 お前は、好きな様に、勝手気ままにわがままに行動すればよい。相応しい仲間にも会えるだろう。
 そうすれば、最終的にお前の望みは叶う。しかし、長く厳しい旅になるぞ。覚悟はあるか?」

「うん、YESだよ、私。絶対にあの場所にたどり着くよっ!」

『まずは金集めですね、リーダー、とにかく私達には何も無い。あちこちに出没しながら
 海賊行為、ですかね。それと情報収集をしながら、役に立ちそうな人を集めましょう』

「海賊かあ・・・ちょっと心が咎めるけど・・・ま、いっか。でも、人殺しは無しだからね。
 目的地は、明るい未来!この船の名前・・・歌に出て来た、夜明けの船ってのはどう?」

『なるほど。良い名前だ。では、時空間自動航行システムを起動・・・本艦はこれより
 夜明けの船と名乗ります』

旅人は3人。
「知恵者」彼は名前を持たない。全ての定めに背いた、裏切り者。

「眼鏡の男」時と場所を超えて、風を追うサラリーマン。優しい死神。

いくつもの世界を救った、謎のJK(女子高生にしてジョーカー)
見ている事しか出来なかったあの頃とは違うと、常に前向きで、
何度もの人生を経験する事で、最弱にして最強となった人類の決戦存在。

私「ユウキ」の賑やかで長い、果てしない旅は、こうして始まった。

−−− それは、『アイ』から始まる物語。 −−−