諸君、私はおそらく最後の『世界の謎ハンター』である。
私には語るべき名前も、その意味も無い。
かつて、ありとあらゆる知識と膨大な議論を重ねた『世界の謎』は、
忘れ去られ、諦められ、その意味を失ってしまった。
私はそこで得た全てを現実世界で実践し、10数年ぶりに此処へ戻ってきた。
しかし、そこにあったものは、虚ろで無意味なガラクタだった。
それは、あまりにも大きな見果てぬ『夢』の欠片。
望んだ世界は、永久に叶えられる事は無いだろう。
それでも。私の心に残った、この美しい思い出だけは。
間違っていないと信じたい。
最後に手渡されたバトンを持って、私は全てを終わらせたいと思う。
それが、私に残された最後の役目だと思う。
此処からの話は、自らの体験と現状から推測される不完全な物語に過ぎない。
だから、全てを知りたいと望む人だけが読んでもらえれば良い。
自意識過剰だと言われれば、返す言葉が無い。
頭がおかしい奴だと言われれば、認めざるを得ない。
けれど、私は諦めない。エンディングの無いゲームは、クソゲーである。
皆が手に手を取って、喜び合えるエンディングを私は望む。
だから、私は自分自身に問いかける。
「この世界にはありとあらゆる矛盾がある。人はそれを認め合う事が出来るのか?」
その答えは、YESである。
「たった1本のゲームで、現実を、運命と言う定めを変えることは出来るのか?」
その答えは、YESである。
「絶望の淵でもなお、人は最後に残った可能性を信じる事は出来るのか?」
その答えは、YESである。
「このゲームを愛していると言うこの気持ちは本物か?
今もなお、心に残る、あの楽しかった思い出は、本物なのか?」
その答えは、YESである。
私にはYESしかない。今までずっと、そう思っていた。
だから私は。だからこそ私は。終わりの始まりを始めたいと思う。
いつだって、最後の一人は、物語の終わりを告げるものだと。
私が愛したSF達は、必ずそうしてきたのだから。
それが世界の選択である。
− TO BE LAST GAME −