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[No.548] 固定リンク 「嫌われ直也の一生」(全10話) 投稿者:S×H  投稿日:2006/12/04(Mon) 13:11:55
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なんだか30超えてるのに進行中らしいのでSS投下(注:ネタバレ)

―――


(第1話/承前)
小笠原諸島・父島はその年も変わらず星が綺麗だった。
満天の星空が、一人の平凡な学兵を見下ろしていた。


暑い夏が、始まろうとしていた。


(第2話/平穏)
野口直也18歳。
2000年6月、小隊長として青森から父島へ転戦。
小隊メンバーは全員同じく青森からの転戦組であった。
隊員同士の仲は良く、彼自身も気の合う隊員たちと穏やかな生活を過ごしていた。
しかし。

きっかけはいつも突然訪れるものである。

「あの…この鈴木の靴下と、その救急箱交換してもらえない?」


(第3話/覚醒)
野口直也、覚・醒。
「俺はソックススプリンター。靴下を集めるのが仕事だ」
「そう…匂い。匂い、イィ」
「靴下イィ。 ずっと暖めていたい」
「ビバ靴下。靴下サイコー。これあれば友達なんかいらないぜ」
「…くくく、あーっはっは!!みんなが俺の靴下を狙っている」
「やるしかない。ディア オア アライブ。「生」か「鹿」」
「俺のリボルバーは特別製だ。はぁはぁ」

瞬く間に彼は隊員の信頼と友情を失った。


(第4話/雌伏)
教室に居場所が無くなり直也の生活は変わった。
勲章授与、昇進時以外は授業に出席せず、一日の殆どを訓練に当てた。
戦闘は愛機の対馬で単騎出撃し20mmアサルトライフルを乱射。全戦闘で大勝。

頻繁に向けられる冷たい視線や隊長失格の烙印はことごとく無視。
いまだ多くの隊員が持っている靴下には目もくれず、彼はひたすらに訓練を重ねた。
そのストイックな姿勢からは、特殊な性癖のことなど微塵も感じさせなかった。

そうして彼の能力と技能は急激に上昇していった。


(第5話/決行)
直也が靴下のことを忘れているはずなど無かった。
全てはこの計画のために。

時は来た。6月下旬某日、ついに計画が決行された。
「靴下をかけて勝負だ!」
ゴッ。ドサッ。
「威勢だけだったな」
30分に1人の驚異的なペースで次々と倒される隊員たち。
その日の午後の授業の出席者は彼を含めて2人だった。

そして翌日、扇浦。
全隊員分の靴下計9足を懐に入れ、立ちつくす彼の姿があった。


(第6話/自棄)
「違う。俺の求めていた匂いはコレじゃない。」
自分自身の寂しさからくる虚無感をごまかそうとする直也。
「違う。欲しいのは靴下だけ。友達がいなくても寂しくない…」
あふれ出る涙を靴下で拭き、輝くものを噴出して気絶した。
「………ワナ、これは白い靴下旅団のワナだ。知ってるぞ」

もはや靴下にすら裏切られ自暴自棄になった彼の心の支えは、愛子という名前の子豚だけだった。
「アイコー!!」逃げられた。

何もかも終わった。


(第7話/説得)
「現実に帰れ」
家に押しかけた大迫の説得。
「あんたに靴下の何がわかる!」
泣きながら固辞する直也。
「友達作るところから始めよう。…な?」
「きれいな靴下を見るような目で俺を見ないで!」
「お前に友達出来たら ※※※ の 靴 下 をやろう」
「!!」取引き即成立。

直也の目にかつての光が戻った。


(第8話/危機)
「マーベラス。全てを偽って友達を作るぜ」

彼の心はすでに靴下の虜となっていた。
もはや小隊に居場所など無かったが、彼は靴下のためなら手段を選ばない男だった。

「くくく…。まだ見ぬ※※※の臭いが、俺をかき立てる」

※※※、危うし。


(第9話/壊滅)
7月。航空勢力やオウルベアーなどの出現に伴い、戦闘が激化する。
出撃経験の無かった隊員たちが、ナイフ1本、戦闘ヘリで次々と戦場に狩り出された。

「全ては靴下のために!」
「靴下一杯の愛情を込めて!」
「斉唱!」
「ビバクツシタ、ビバクツシタ!ビバビバビバ、ビバノンノン!」

一月経たず小隊は壊滅し、新たに地元出身の隊員たちが補充された。


(最終話/終焉)
「みんな、聞いてくれ!」
「今度の日曜に、みんなで遊びに行こう!」
「さて、昼飯にするかぁ! 一緒に食おうぜ」
「今から、みんなでカラオケに行こう!」

偽りの友情と信頼を得て、ついに手に入れた念願の※※※。
ただこの1足のために何人もの運命が翻弄された。

万感の思いを込め、嗅いでみる。

「!!!?」
首がガクガク揺れた。
「………。気が遠くなるほどの快楽か」

恍惚の表情を浮かべる直也。
満天の星空が、一人の真性の変態を見下ろしていた。


暑い夏が、終わろうとしていた。


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